VIRGIN TRIUMPH | 番外編7 タイガー新車発表会 タイガーに鞭打ってノマド(遊牧民)になろう 立花 啓毅さんのコラム

番外編7 タイガー新車発表会 タイガーに鞭打ってノマド(遊牧民)になろう

  • 掲載日/2018年02月19日
  • 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

立花啓毅さんのコラムの画像

2月10日、二子玉川のITSCOM STUDIOで新型の『タイガーシリーズ』と『スピードマスター』『ボバーブラック』の発表会が行われた。発表会はトライアンフらしいプレゼンで始まり、2部では何時ものようにアルコールも振舞われ、会場は華やかな空気に包まれた。その全てを野田社長ご自身が仕切っておられた。

華やかなのはパーティーだけでなく、トライアンフ社自体が華やかなのだ。次々に新型車を投入し、特に日本での販売台数は右肩上がりだ。

さらには2019年よりmoto2へホンダの600ccに代わり、3気筒765ccのレーシングエンジンを供給するというのだから、かなり強気の経営方針である。もし信頼性に問題でも起きれば、オーガナイザーはレースが運営できなくなるわけで大きな責任を伴う事業だ。そう考えるとトライアンフ社は、技術力にかなりの自信があるのだろう。

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ところで新型の『タイガーシリーズ』には『タイガー800』と『1200』が用意され、エンジンは得意の3気筒。しかし単なる排気量違いではなく、『1200』にはシャフトドライブを採用。そのため長距離のオフではかなりありがたい存在になる。

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『800』のエンジンは、95ps/9,500rpmと79Nm/8,050rpmを発揮。一方『1200』の方は、強力な141ps/9,350rpmと122Nm/7,600rpmで、リッター当り10kgmを超える高トルクだ。この値は市販エンジンとしては限界に近く、技術力の高さを示している。

サスペンションは、この強力なパワーをオンでもオフでも路面に伝えるという。強力なパワーとトラクションの組み合わせは、かなり期待できる。車重は『1200』が273kgで、旧モデルより12kg軽量化されている。

価格は『800』が143万円からで安めに設定され、『1200』は222万7,500円からである。因みに競合するBMWの1200GSと比較すると、出力は16ps高いが車重は23kg重く、価格は20万円安い。これは非常に楽しみでぜひ比較試乗してみたい。

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このオン、オフ両刀使いのマシンなら、まさにノマド(遊牧民)となって地の果てまで行けるように思う。

私は貧乏な学生時代、バイクの横にテントを括り、反対側には鍋や飯盒を縛って、1ヶ月以上もの放浪の旅を毎年行っていた。金がないため、天ぷら屋の裏口から揚げかすをタダでもらい、それに近くの畑から手に入れた野菜を加え雑炊を作っていた。そんなもので腹を満たし、風呂は近くの川や湖が定番で、そこで洗濯もしていた。

しかし常に天気が良いとは限らず、台風に遭遇した時は、テントが飛ばされないよう大地に腹ばいになって、つぶしたテントを中から押さえていた。豪雨は周りに掘った溝を越えて侵入するためグチョグチョの状態。しかもテントは今と違って厚手の綿のため水を含むとかなり重い。最大の問題は、雨が続くと火を起せず飯も食えない日が続くことだった。

でもこのノマド的生活は、どんな苦労があっても「心を開放」してくれるのだ。さらにその地で知り合った人々からの親切心も加わり「心が豊か」になる。このノマドの相棒は英国車のAJSで、ロングストロークのOHVの鼓動には、自然に溶け込んだ穏やかさがあり、エンジンまでもが心を豊かにしてくれていた。

話は変わるが、以前、建築家の黒川紀章と隈研吾と3人で食事をしたことがある。お二人とも世界的な巨匠で、先輩と後輩の関係にあたる。そこに私も参加した形だが、話は建築ではなく、「女心の機微」という妙に深い話になった。若尾文子のような美人を奥方にしても、女は男の原動力だということなのだ。

この黒川紀章は「ノマドの時代」という本を1989年に執筆されている。その中で彼は、農耕民族の我々日本人は、定住意識が強いが、それに対して江戸期の参勤交代や仮住まいの奉公人らの生活を見ると、定住せず「流動的な人間関係を形成していた」という。

さらに今後の情報化社会では、個人と個人は特定の目的でつながる生き方をするため現代的「遊牧民」時代が到来するという。

また人々の行動が刺激されれば、地縁を離れてネットワークを築く「新遊牧騎馬民族」が生まれるだろう。そして「移動して交流することが新たな『価値』を生む」と唱えている。そういった考えを基に設計したのが、個々の箱を積み上げた中銀カプセルタワーというのだ。

彼がいう「新遊牧騎馬民族」には、今回の『タイガー』がもっとも似合う。この『タイガー』にテントや飯盒を括って野宿しながら旅を続ければ、我々の奥に眠っている動物的本能が目を覚まし、人間性を取り戻すように思う。

黒川紀章がいうように、移動して交流することが新たな『価値』を生むわけで、これによって受動的安定志向の日本人が能動的に変われば、老人化した日本はクリエイティブな国に変れるかも知れない。

『TIGER 800』(2018)
  • エンジン=水冷並列3気筒 DOHC 12バルブ
  • 排気量=799cc
  • 最大出力=95PS(70KW)/9,500rpm
  • 最大トルク=79Nm/8,050rpm
  • シート高=840~860mm
  • 車重=200kg~
  • 価格=143万~
 
    『TIGER 1200』(2018)
  • エンジン=水冷並列3気筒 DOHC 12バルブ
  • 排気量=1,215cc
  • 最大出力=141PS(104KW)/9,350rpm
  • 最大トルク=122Nm/7,600rpm
  • シート高=835~855mm
  • 車重=243kg~
  • 価格:222万7,500円~

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