VIRGIN TRIUMPH | ストリートに映えるオシャレさと、タフなオフロード性能を併せ持つスクランブラー1200XCを試乗インプレ 試乗インプレッション

ストリートに映えるオシャレさと、タフなオフロード性能を併せ持つスクランブラー1200XCを試乗インプレ

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TRIUMPH SCRAMBLER 1200 XC (2020)
脈々と続くトライアンフ・スクランブラーの歴史。その中において最新モデルであり頂点に立つのがスクランブラー1200シリーズだ。今回はモダンネオクラシックでありながら、高い性能を秘めたXCモデルの実力に迫る。

スクランブラーに本物と偽物があるとすれば
これは間違いなく本物だと言い切れる素質を持つ

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トライアンフのオフロードモデルには、今回取り上げるモダンクラシックモデルのスクランブラーシリーズと、アドベンチャーモデルのタイガーシリーズがある。タイガーは、トリプルエンジンを搭載しモダンで前衛的なスタイリングが与えられたアドベンチャーモデルという位置づけであり、一方のスクランブラーは伝統的なバーチカルツインエンジンが採用され、40~60年代にかけてインター・ナショナル・シックスデイズ・トライアルや、ダートトラックなどで輝かしい戦歴を上げたモデルをベースに開発され、アメリカの俳優スティーブ・マックイーンが愛用していたことでも知られるTRシリーズをオマージュするオフロード志向のモデルである。道と荒野、どちらも相手に走り回るという意味を込めて名付けられたスクランブラー、そのSTDモデルとなるスクランブラー1200XCを紹介する。

スクランブラー1200XC 特徴

ワイルドでありながらもソフィスティケートされた
スタイリング、そしてライディングポテンシャル

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トライアンフのスクランブラーが登場したのは2006年のことだ。当時販売されていたボンネビルをベースに、往年の名車であるTRシリーズをイメージして作られていた。そもそもスクランブラーというネーミングは、舗装路と未舗装路を分け隔てなく混ぜ合い走る、”交差するモノ”という意味が持たされており、50、60年代に流行していた今で言うところのモトクロスレース参戦モデルからきている。

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初代スクランブラーもブロックパターンのタイヤや、アップマフラー、ワイドなアップハンドルなどが装備され、それは今回取り上げる最新のスクランブラー1200XCでも継承されている。初代スクランブラーの説明で付け加えるとすれば、当時のボンネビルと同じタイプのエンジンを採用していたのだが、ボンネビルが360度位相クランクだったのに対し、スクランブラーは270度位相クランクとされ、結果としてツインエンジンの鼓動感、そしてオフロード走行時のトラクションを得られるようにされていた。このことからも、スクランブラー=オフロード志向の図が分かってくることだろう。

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スクランブラー1200は、ボンネビルT120と同様のエンジンが搭載されているが、最高出力も最大トルクも引き上げられている。そして1200XCと1200XEの2モデルが用意されており、後者は、サスペンショントラベルやスイングアームが延長され、より一層オフロード走破性が高められたモデルとなっている。その2台を比べると、どちらかというと都会的な仕上がりとされているスクランブラー1200XCをピックアップする。

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スクランブラー1200XC 試乗インプレッション

秀でたオリジナリティとドライバビリティ
他に類を見ないビッグオフローダースタイル

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少し前まで、タイガー1200デザートエディションのテストを行っていたことや、走行風などからライダーを守るようなフェアリングを備えていないシンプルなスタイリングということもあってか、初見のスクランブラー1200XCは、思っていたほど巨大には感じなかった。ただし、実際にまたがってみると、やはり840mmというシート高は、けして低くはない。これがタイガー1200だとさらに高い870mmになるのだから、ビギナーは躊躇してしまうかもしれない。ちなみにタイガー1200のシートは835~855mmの間でセットできるようになっているためシート高の数値だけを比べるとタイガーの方が扱いやすそうだと思うかもしれないが、スクランブラー1200と比べて車重が20キロほど重くなるため、取り回しの軽さは結構差がありスクランブラーに軍配が上がる。そういった点のさじ加減は、設計上あえてなされていたり、キャラクターからなるものだから、機会があれば実車を押し引きし、できることなら走らせて感じ取ってほしい。

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スクランブラーXCは一度走り出してしまえばその乗り味はイージーそのものだ。たっぷりと豊かなサスペンションストロークは、まるで空飛ぶ絨毯に乗っているかのようにしっとりと滑らかな乗り心地であるし、高い位置にセットされたワイドなバーハンドルと、フロント21インチ、リア17インチというタイヤサイズの組み合わせにより、シッティングポジション時には、まるでクルーザーに乗っているかのような快適さであり、スタンドポジションをとった際には、悪路でもしっかりと車体をコントロールすることができる。

その高いスタビリティに、さらにビッグツインエンジンならではの強大なパワーとトルクが合わさっているのだから、走りは快活そのものだ。

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ストリート、高速、ワインディング、そして未舗装路と、様々なステージでスクランブラー1200XCを走らせてみた。ここで白状しておくと、スクランブラー1200XCにしっかりと触れる前は、もっと曖昧な味付けのモデルなのかもしれないと思っていた。しかし、スクランブラー1200XCと過ごした日々は、とても楽しいものであったし、大柄なビッグバイクでありながら毎日乗りたいという気持ちにさせるものだった。何よりもこのバイクはタフだ。

まず、その理由の一つに挙げられるのは車重の軽さおよびバランスだ。あの巨体とパワーにして、これほどのものかと思わせるヒラヒラ感は、アスリート的であり、それでいながらもフレンドリーさを覚えるもの。フロントの21インチタイヤは、コーナーリング時の立ちが強いが、慣れれば気にならない。というか、このサイズだからこそ未舗装路に入っていきたくさせるものとなっている。ツインショックタイプのオーリンズサスペンションはフルアジャスタブル機構を備えており、私の場合はオンロードではスタンダードか若干締め気味に、オフロードではやや抜く方向でダンパーをセットすると乗りやすかった。

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そして何よりもストリートからダートまで映える完成度の高いデザインは、置いて眺めて良し、乗っていても気持ち良しだ。強いてネガティブポイントを挙げるならば、アップタイプのエキゾーストシステムの宿命とも言えるもので致し方ないのだが、真夏はもちろん寒くなってきた今現在も、マフラーからの熱がライダーの右腿に襲い掛かる。しかし。それも許容できるほどスクランブラー1200XCは走らせて楽しく、タフでワイルドさを持つカッコいい一台に仕上がっているのである。

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そうそう、これは余談なのだが、現在公開延期となっている人気スパイ映画007の新作、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇中にてスクランブラー1200が登場し、それを記念した特別モデル『スクランブラー1200ボンドエディション』が限定250台生産される。希少価値の高いモデルであるだけに手に入れたいと思う人も多いと思うが、残念ながらすでにコチラは予約完売とのこと。タイミング良く手に入れられた人は幸運の持ち主だ。

スクランブラー1200XC 詳細写真

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1200cc水冷SOHC並列2気筒エンジンを搭載。270度位相クランクは、ツインエンジンらしい鼓動感とトラクションを発生させる。最高出力は90馬力で、最大トルクは110Nmとされている。
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チューブレスタイヤの使用を前提としたクロスワイヤースポークホイールを採用し、そこに細身&大径である90/90-21サイズのタイヤをセットしている。320mm径のツインディスクとブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーの組み合わせとなる。
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オーソドックスな丸型一灯ヘッドライトケースでありながらも、オリジナリティのある面発光LEDデイライトを備えることで、モダンな雰囲気も併せ持つフロントマスク。ターンシグナルもLEDが採用されている。
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ひと目見ただけでトライアンフのスクランブラーモデルだと分かるほど、特徴的なディテールとなっている右側二本出しのアップマフラー。ツインエンジンらしい歯切れの良いサウンドも魅力だ。
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スクランブラーXCに採用されているアルミ製スイングアームは、長さ547mmとされている。よりオフロード志向を高めたXEでは579mmとなる。リアタイヤサイズは150/70R17とされ、タイヤに関しては両モデルともに前後同じサイズとされる。
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フルアジャスタブルが可能な、オーリンズ製リザーバー付ツインショックを採用。動きは滑らかでしっかりとしたトラクションを得られるものだ。トラベル量は200mmで、XEより50mm少ない。
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第二世代と呼ばれるフルカラーTFTディスプレイを採用。2種類の画面レイアウトが用意されており、どちらも視認性は高い。5種類から選べるライディングモードの状態も表示される。メーター下部は物理キーを使うハンドルロックシリンダーが備わる。
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左スイッチボックスに備わる5方向ジョイスティックを操作することで、TFTディスプレイの表示を介し、様々なコントロールを行うことができる。ディスプレイには次に行う操作の指示が表示されるので、直感的に扱うことができる。
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ボンネビル譲りの丸みを帯びたフューエルタンクは、ライディングポジションやフォークのセット位置に合わせて、リセッティングされている。タンク容量は16L。
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美しいラインを描くリアフェンダーはアルミ製で、そこにLEDテールランプや、ライセンスプレートステーなどが備え付けられている。時代に流されないビンテージスタイルは、いつまでも飽きることがない。
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シートはフラットな形状とされており、ライディングポジションにおいて前後の自由度が高い。タンデマー側はタックロールスタイルのデザインが施されている。グラブバーは積載フックを掛けるのにも役立つ。
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ステップバーはラバーパーツを取り外すことで、ブーツのグリップが高まる。ヒールガードの位置も良く、ホールド性も高い。これらのことで、悪路でも車体のコントロールがとてもしやすい。
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シート下には小物入れと、USB電源供給が備わっている。現代のツーリングでは欠かせなくなったスマートフォンをはじめとしたガジェット類の充電ができるのは便利だ。
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フロントサスペンションはショーワ製φ45mmの倒立フォークを採用。トラベル量は200mm(XEはφ47mm、トラベル量250mm)。フォークトップでダンパーの調整をすることができる。
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オフロード走行も考えられたモデルということもあり、悪路での底打ちからエンジンを守るスキッドプレートも標準で装備される。アルミ製で見た目も良い。

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