VIRGIN TRIUMPH | 好きなバイクで旅に行く(タイガー800XCに乗って) 山田健さんのコラム

好きなバイクで旅に行く(タイガー800XCに乗って)

  • 掲載日/2015年04月28日
  • 写真・文/山田 健

2014年7月から11月末まで、自分のバイクで日本からロシアへ渡り、ヨーロッパ中を走ってきた。好きなバイクで好きな場所を走る。毎日が見たことのない世界。誰しも少しは、興味があると思う。

旅の間、いつも自分と一緒に相棒がいる。何でもそうだけど、どうせ一緒なら好きな奴のほうが楽しいし気分もいい。今回、その相棒(バイク)はタイガー800XC(2011年式)だった。

心決める前に悩み、やめてしまうことが多い。けれど、一度決めてしまえばあとは簡単で、それに向かって準備していくだけだ。会社の休日を利用し、旅の準備を進めた。

出発の日は7月3日に決めた。6月末で7年間勤めていた会社を退職し、7月9日には北海道の稚内からロシアのサハリンへ渡る。7月4日に新潟、そこからフェリーで5日に小樽、6日は走って稚内へ向かうスケジュールだ。

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最初の国、ロシア。ロシアと言うと、広大、ウォッカ、美人が多い、そんなイメージしかなかった。ニュースも西側諸国から入ってくる怖いイメージだったり、知らないことが多い。しかし実際に行ってみると、そこで出逢った、とくにバイク乗りは親切で優しく、親日的な人が多かった。日本の自動車、バイクメーカーはロシアでも有名で、みんな知っている。それだけで話になる。「日本人でよかった」そう思えた瞬間だ。

ロシアの大陸を走る。北海道の景色をさらに広くした感じだ。シベリアでは森林があり、モンゴル近くでは牧草地、未舗装路、畑作地帯など、バラエティに富む真っ直ぐな道が多い。

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初めての景色、大自然を走る気分は爽快だ。バイクで旅をするのは、車とは違った一体感、操作感がある。なんと言ってもその土地の空気、風、においをダイレクトに感じる。

自分で泊まるところやルートを自由に決めて走る日々のなかで、決断力、コミュニケーション力、トラブル解決力が養われ、自分が成長していくのがわかる。すべてが貴重な経験、財産だ。

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ロシアでは、バイク乗りがひとつのファミリーのような感じがする。すれ違うとき、停まっているときに挨拶してくれるのは当たり前。困っていたら助けてくれる。とにかく優しい。車種、メーカー問わず、みな楽しんでいた。あるロシア人がこんなことを言っていた。

「ロシアの自然って厳しいでしょ。だけどそこでネガティブにならず、その状況を楽しむのがロシア人なんだ」

コミュニケーションは、ロシア語も話せないのでカタコトの英語とジェスチャーでなんとか通じた。伝えようとする気持ちが大切だった。ロシア人の、良い意味でのバイク乗り気質が、日本でも広がって欲しいと思う。

一昔前のシベリアは道が悪く、途中からシベリア鉄道にバイクを乗せたという話も聞いていたが、現在では幹線道路のほとんどがアスファルトになっている。そんな広大なロシアを走ってみて、タイガー800XCの良かったところが見えてきた。

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まず、19L容量の燃料タンク。ロシアは広い、極東からサンクトペテルブルグまでざっと10,000kmはあると思う。毎日だいたい500km、長い日には1,000kmは走った。ガソリンスタンドは、長いところで200kmは無かったりするので、まめに給油しないといけない。タイガー800XCでは、走り方にもよるが300~400kmは無給油で走ることができる。この航続距離は旅に安心感を与えてくれる。

予備のガソリン携行缶を使ったのはロシアで1回だけ、給油し忘れたときだった。それもロシアを走っているとき、フランス人ライダーから「この先予備タンクは必要ない」と教えてもらい、邪魔になったので処分した。旅を続けているうちに不要なものは減り、持ち物が洗練されていく。それもまた楽しい。

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次に走破性。トライアンフ特有の3気筒エンジンは、低速から高速まで十分なパワーを発揮する。広大な大陸で、時にはスピードを上げて走ることもある。未舗装路では21インチのフロントタイヤと豊富なサスペンションストロークのおかげで旅を堪能できた。時には転倒もあったが(その話は後ほど)、どんな道でも不安無く走ることができた。

それに3気筒ならではのエンジン音もたまらない。街を走っていると、道行く人が振り向くこともあった。このサウンドを聴いたことのない人は、ぜひ聴いてみて欲しい。

大自然の中を走り、絶景を眺め、休憩するというのは最高のひとときだった。タイガー800XCの高い走破性の恩恵だ。

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そしてデザイン性と足つき性。何か欲しいと考えたとき、やっぱりルックスと機能は重要だと思う。タイガー800XCが発売される前からプロモーション映像でチェックしていたが、これがまた興味をそそる。これを見たら、きっと乗りたくなるはず。当時、発売前から少しずつ動画を公開していくプロモーションには、正直やられた(笑)。

発売されてすぐ見に行ったとき、大きさのわりに足つきが良いことにびっくりした。これは安心感に繋がる。ほかのバイクにも跨がってみたが、身長170cmの僕でもタイガー800XCは納まりがよく、初めて見たその日に購入を決めた。デザインはもちろんのこと、800ccクラスは僕にとってちょうど良いサイズ。フェリーや駐停車での取り回しも良かった。

好きなバイクで走るということは、旅を楽しくする大事な要素だ。どんなバイクでも旅はできる。何かトラブルがあったとしても、それらすべてが、旅の要素になるのだから。

次回も、タイガー800XCで大陸横断しながら感じたことをご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに。

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