VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ新Moto2エンジン発表! 市販車フィードバックに胸熱期待!! トピックス

トライアンフ新Moto2エンジン発表! 市販車フィードバックに胸熱期待!!

トライアンフ新Moto2エンジン発表! 市販車フィードバックに胸熱期待!! main画像

トライアンフとMotoGPが、2027年のFIM Moto2世界選手権に投入する新型レーシングエンジンを発表した。最高出力約6%向上、2kgの軽量化という数字が独り歩きしがちだが、本当に注目すべきは別の点だ。2019年の独占供給開始以来、蓄積された総走行距離約200万kmのレースデータが、どうストリートトリプル 765をはじめとする市販車に還流していくのか。今回の発表を、レースと公道の”往復”という視点から読み解いてみたい。

出力6%向上と重量2kg減、その中身

今回の発表によれば、新型エンジンの開発の核心はシリンダーへの吸入空気量の向上にある。新設計のシリンダーヘッド、全面的に刷新した低慣性バルブトレイン、高流量ポート、新しい燃焼室形状によって圧縮比を高め、回転域全体でよりリニアなトルクを引き出す設計だ。

あわせてクランクケースと内部構成部品も再設計され、高まる出力とトルクに対応しながら、サーキット投入後の信頼性を最大限確保する狙いがある。この結果としてエンジン全体で2kgの軽量化を実現し、最高出力は約6%向上する。

排気量にも変更が加えられる予定で、詳細は後日発表とされている。サーキットテストは今後数か月以内に開始され、非公開テストを重ねたうえで年内のデビューを目指す。

トライアンフ新Moto2エンジン発表! 市販車フィードバックに胸熱期待!! 01画像

Moto2は市販車開発の実験室なのである

Moto2用エンジンのベースはストリートトリプル 765 RSなどに使われているものと同じ765cc直列3気筒であることを思い出してほしい。つまりこのエンジンは、量産車の心臓部をレースの極限環境に投げ込み、鍛え上げて戻すという、トライアンフ独自の開発サイクルの中核を担っている。

2019年の参戦開始から8シーズン、歴代最速ラップと決勝最速ラップをあわせて100件近く更新し、Moto2で腕を磨いた多くのライダーがMotoGPへと巣立っていった。単なるワンメイクエンジン供給ではなく、量産車の基本設計そのものを世界最高峰のミドルクラスで鍛え続けているという点に、他メーカーのレース活動とは一線を画す意味がある。

私自身、まだ駆け出し編集者だった2007年に初代ストリートトリプル675を頻繁に使い、市街地からツーリング、サーキットまで走らせ尽くした経験がある。その時に感じた「とにかく楽しい」という素直な衝動は、その後2017年の765化、そして2019年のMoto2エンジン採用を経ても薄れるどころか、むしろ研ぎ澄まされていった。

そしてラインアップがR、RS、限定のRXやMoto2エディションへと枝分かれし、それぞれレース由来のチューニングを異なる濃度で纏っていく様子を間近で見てきただけに、今回の新型エンジンがいずれ同じ道筋をたどることは想像に難くない。

トライアンフ新Moto2エンジン発表! 市販車フィードバックに胸熱期待!! 02画像

200万kmに及ぶ膨大なデータが市販車に何をもたらすか

今回の刷新のベースとなったのは、2019年以降にMoto2のステージで蓄積された約200万kmという膨大なレースデータと、ライダーから直接得たフィードバックだ。

近年もギアボックスを中心とした積極的なアップデートが重ねられてきたことが公式にも明かされている。ここで重要なのは、これらの改良が単なる出力向上にとどまらず、酷使に耐える耐久性や、扱いやすさに直結するフィーリングの作り込みに直結している点だ。

実際、2023年にモデルチェンジしたストリートトリプル765Rを試乗した際、パワーやトルクの向上だけでなくギアレシオの適正化や電子デバイスの制御精度までが練り込まれていたことに驚かされた。スロットル操作への忠実な反応は、まるで精密な機械式時計を思わせるシャープさで、レースからのフィードバックが確かに市販車の隅々にまで浸透していることを肌で感じた瞬間だった。

市販車のカタログスペックには決して表れないこうした知見こそが、ストリートトリプル 765シリーズや今後登場するモデルの信頼性・完成度を静かに底上げしていく。レースで鍛えられた765ccエンジンというストーリーは、単なる宣伝文句ではなく実際のエンジニアリングの積み重ねなのだ。

2027年、シャシーも巻き込む変革の年となる

新型エンジン導入の影響はエンジン単体にとどまらない。エアインテークの配置やエンジンマウント位置が変更されるため、Moto2に参戦する各ブランドは2027年に向けて新設計のシャシーを用意する必要がある。そのためトライアンフは過去12か月にわたりシャシーメーカーと連携し、必要な情報を提供してきたという。

パドック全体を巻き込むこの規模の刷新は、トライアンフが765プラットフォームの将来に強い自信を持っていることの裏返しとも読める。レースで積み上げた知見が、いずれ次世代ストリートトリプルなどの市販公道モデルへと還元されていく——2027年のMoto2グリッドは、その最初の一歩を見せてくれるはずだ。

バイク買取&乗り換えガイド