VIRGIN TRIUMPH | ニュー・タイガー800シリーズ(2015) 海外試乗記【前編】 トピックス

ニュー・タイガー800シリーズ(2015) 海外試乗記【前編】

ニュータイガー800シリーズの画像

生まれ変わったタイガー800シリーズ

2015年1月23日より店頭販売開始となったニュー・タイガー800シリーズ。国内では2014年12月17日に英国大使館でプレス発表会が行なわれ、同時に予約注文が開始された。

ニュー・タイガー800シリーズは、2010年に登場した『タイガー800』『タイガー800XC』の後継機(メジャーアップデートモデル)にあたり、トライアンフのアドベンチャーレンジのなかでは、兄貴分にあたる排気量1,215cc水冷並列3気筒 DOHC 4バルブエンジンを搭載する『タイガーエクスプローラー』(2012年)よりもライトウェイトな、排気量800ccのトリプルエンジンを搭載するミドルクラスのアドベンチャーモデルとなる。

大陸横断型冒険ツアラーのタイガーエクスプローラーに対し、タイガー800シリーズはよりスポーティで万能選手的なキャラクター。しかも、新たにタイガーエクスプローラーの電子デバイスを搭載することで、ライダーのスキルや用途、好みに応じたライディングを可能としている。

モデル概要は『ニューモデル速報 2015年型タイガー800シリーズ』をご覧いただくとして、ここではスペインでの試乗の模様をお伝えしよう。

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メーカーの意気込みが伝わるワールドローンチ

ニュー・タイガー800シリーズのワールドローンチは、2014年11月下旬にスペイン南部のマラガで行なわれた。日本との時差はマイナス8時間、羽田空港からはフランス経由でおよそ16時間を機内で過ごし、ようやくマラガ空港に降り立つことになる。

午後に到着した滞在先のホテルには、すでに多くの海外ジャーナリスト達が集まっていた。聞けば世界14カ国から合計170名ものジャーナリストを招き、1チームにつき2日間、トータル6日間にわたって入れ替わり試乗を行なっていたそうだ。これほど大規模なプレス発表試乗会は、他メーカーでも滅多にあるものではない。

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ひたすらワインディングを走る

現地に到着したその日の夕刻、ホテルのカンファレンスルームで本国トライアンフモーターサイクルズのチーフエンジニアにより、ニュー・タイガー800シリーズが“いかによく出来たモーターサイクルなのか”というプレゼンテーションが行なわれ、翌日より2日間、それを確かめるための試乗となる。1日目がオンロードのみで『タイガー800XRx』に乗り、2日目は『タイガー800XCx』でオフロードセクションも含むルートを走る。いずれも150km前後の行程だ。

翌朝、中庭スペースに並べられた数十台の試乗車をまじまじと眺めてみる。拒絶したくなるような大きさや威圧感は無い。2段階に高さ調整可能なシートを高い状態で跨ってみると、身長176cm、オフロードブーツを履いた状態で片足のかかとが地面に届く。たったこれだけのことだが、大型足長モデルにありがちな恐怖感はかなり軽減され、精神的にも余裕が生まれる。

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タイガー800XRx(シート高810/830mm ※ローシートの場合は790/810mm)

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タイガー800XCx(シート高840/860mm ※ローシートの場合は820/840mm、フォグランプはオプション装備)

この2台の外観上の違いは、前後ホイール、フロントホイールのサイズ、前後サスペンション、スクリーン形状、ハンドル位置、フロントマッドガードとエンジンガード(アルミ製サンプガード、保護バー)の有無という程度だ。

すべてのモデルにトライアンフトラクションコントロール(TTC)とON/OFF切り替え可能なABSが標準装備され、上位機種の“x”(スモールエックス)にはクルーズコントロール、3種の走行モード(オンロード、オフロード、ライダー設定)、4種のスロットルマップ(スポーツ、オンロード、オフロード、レイン)といった電子デバイスを装備する。試乗車は、販売でもスタンダードとなるXRxとXCxが用意された。

この電子デバイスの搭載と足回りの違いにより、両モデルともベース(エンジンや車体構成)は共通としつつ、“オンロード寄りのXRx”と、“よりオフロード向けのXCx”というキャラクターを明確に分けている。

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ライド・バイ・ワイヤーとトリプルエンジン

走り出してまず感じたのが、スロットルレスポンスの素直さだった。グリップを捻ったときの感触は“スルリ”と、それでいて重みも感じる抵抗を残した、タイガーエクスプローラー同様のライド・バイ・ワイヤーを搭載している。スロットルマップを変えて同じような開度を試してみると、微開から全開へ至るまでの立ち上がり方の違いは明らか。3気筒エンジン特有の低速から力強いフラットなトルク特性と、高回転域までスムーズに上昇する出力特性、単純にグリップとバタフライバルブの開度を調整しているだけだが、エンジンとの相性(そして調律)は抜群にいい。内部にかなりの手が加えられ、進化と熟成が見られる“第2世代トリプル・エンジン”は、ライド・バイ・ワイヤーによってこそ、その性能を余すところ無く発揮しているようだ。

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タイガー800XRxの走り

グリップに手を伸ばすと肘にややゆとりがあるタイガー800XRxは、フロント19インチ、リア17インチのホイールにShowa製サスペンションを装備する。先導に続いて右側通行のワインディングをグイグイ走っていくと、普段では考えられない速度でコーナーを駆け抜けていることに気付く。すれ違う一般ライダーにはスーパースポーツ系が多く見られる、深さの異なるバリエーションに富んだコーナーを楽しめる試乗ルートだ。

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コーナー手前で3速全開にしていたスロットルを一気に閉じると、極端に沈むこともなくフロントフォークが縮む。軽くリアブレーキを触ってリーンすると、「ちょっと立ち気味かな…」と感じつつも車体は素直に旋回していく。アップライトなポジションで、風景を楽しみながらのんびり走ることも許容するキャラクターだが、先導に釣られて高回転域で走ってみると、これがなかなか、結構なスポーツライディングを楽ませてくれた。

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充実の電子デバイス

“x”(スモールエックス)に装備された走行モードは、メーターボディ左上のプッシュボタンで簡単に切り替えができる。走行モードの「オンロード」と「オフロード」は、トラクションコントロールとABS、それにスロットルマップの設定が固定となっており、「ライダー」にすると、その介入度合いやON/OFFを選ぶことができる。

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切り替えは順次ディスプレイに表示させ、左グリップのスイッチで選択する。かなり細かく設定可能だが、その全てを試しながら自分にマッチしたモードを探り出す楽しみは、オーナーだけの特権だろう。

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さらにクルーズコントロールまで搭載されており、作動と速度調整は右グリップのスイッチで行なう。ブレーキを軽く操作するか、スロットルグリップを全閉状態から反対側(さらに閉じる向き)へ捻ると、クルーズコントロールは解除される。

走行モード、トラクションコントロール、ABS、スロットルマップ、クルーズコントロール…これほどの充実装備は、同セグメントでは最上級だ。「どうせだったら電子制御サスペンションも…」と言いたくなるところだが、後のチーフエンジニアへのインタビューで「それによって車両価格を上げてしまうのは、ユーザーの望むところではない」という明確な回答をいただいた。ユーザーニーズは当然調査済み、ということだ。

トライアンフはこのニュー・タイガー800シリーズをラインナップしたことで、アドベンチャーツアラーのセグメントに、ミドルクラスのハイグレードモデルを投下したことになる。(後編へつづく)

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