VIRGIN TRIUMPH | 6-18 生きた化石とは言わせないモーガン 立花 啓毅さんのコラム

6-18 生きた化石とは言わせないモーガン

  • 掲載日/2018年06月08日
  • 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

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新聞の紙面は、連日AIだ! IOTだ!やれ水素エンジンだ!とにぎわいを見せている。一方、自動車メーカーは、世界的なこの潮流に遅れまいと、EVや自動運転の実現に向けて膨大な資金をつぎ込んでいる。

ところがそんな世の中の流れに無関心を装い、100年いや200年以上も前の馬車と同じ製法でクルマを作っているメーカーがある。それが今回、ご紹介する「モーガン」だ。

先日、そのモーガンのお披露目が、古式豊かな明治記念館で行われた。新型車がないのに、お披露目とは???という疑問符を持ちながら会場に伺った。すると、すでにモーガンクラブの方々が記念館の入口に愛車を並べ、クラブジャケットを羽織って、雰囲気を盛り上げていた。時代を超えた美しいモーガンと明治記念館の佇まいが実に良くマッチしていた。

会場に案内されると、やはり新型は見当たらず従来型の4/4が展示されている。そう!今回の発表会は新型車ではなく、正規輸入元としてモーガンカーズ・ジャパンが設立されたことの説明である。また全国に8拠点の代理店もできて部品やアフターサービスを充実させるという。以前からモーガンには興味があったため嬉しい限りだ。

モーガンは馬車と同じように木骨でボディを組立て、その上にアルミ板を貼っている。そのため工場は家具工場そのものだ。木材を曲げたり、鉋(かんな)を掛けたりして、1台ずつ仕上げている。しかもアルミ板は釘で止めているというから驚きだ。

木材は丈夫で腐りにくいトネリコ・アッシュ材を採用。それを3層にしてフェンダーの形状に整形している。構造はスチールのラダーフレームの上に木骨でキャビンを組み、そこにアルミの外板を貼ったもの。サスペンションはフロントが当初から採用されているスライディングピラー方式。2輪でいうプランジャー型である。後輪はリーフスプリングのリジッドアクセル。聞くところによると今年から一部の車種に5リンクが採用されるという。驚くのは、一度、仮り組みした後に分解し、塗装してから再度組み立てるというから驚きだ。

実は木骨ボディというのは、戦前までは一般的な構造で、多くのクルマに採用されていた。日本車も同様で、バスやトラックは戦後も作り続けられていた。木骨の特徴は、設備投資が少なく、シャーシの上に好きなボディを載せることができることだ。そのためお金持ちはコーチビルダーに自分好みのクルマを作らせ、それによって華やいだクルマ文化が誕生した。

一方、貧乏人は廃棄寸前のクルマを切ったり剥いだりして、独自なクルマを作る人が多く、なかには籐で編んだ籐椅子のようなキャビンを持ったクルマもあった。その格好の材料が大量に作られたオースチン・セブンだった。レーシングカーも安価に作ることができるためレースも盛んに行われていた。これが英国流のクルマの楽しみ方で、それは今も続いている。

木骨ボディは大量生産には不向きだが、少ない設備投資で、しかも非常に軽く作ることができる。因みにモーガン4/4の1.6Lは、795kgしかなく、軽自動車並みの軽さだ。参考まで記すと、初期型のユーノス・ロードスター(NA型)は、開発時に血がにじむ努力をしても940kgが限界だったことから、モーガンが如何に軽いかが判る。

もともとモーガンは、3ホイラーを得意するメーカーで、広いトレッドの前輪の前にJAPのVツインを載せ、卓越した操安性を示していた。モータスポーツでも好成績を残し、販売も好調だった。その高い運動性能を期待した顧客から4気筒の4輪車の要望があり、誕生したのがモーガン4/4である。それは1936年のことで、4/4は4気筒の4輪車を意味する。それから82年間、今も作り続けている。

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日本で販売されるのは4車種で、このモーガン4/4が766.8万円。PLUS4の2.0Lが820.8万円。従来のプラス8に代わって登場したのがロードスターで、V6の3.7Lが搭載され、価格は993.6万円。3ホイラーが766.8万円。

生産台数はなんと850台/年で自動車メーカーといっても家内工業である。数百万台から1000万台のメーカーがひしめく中、まさにモーガンは創業者一族による家族経営が今もなされていて、従業員は約150名。

それでこの低価格を可能にしているのは、設備投資が少ないからだろう。エンジンはいずれもフォード製で、トランスミッションはマツダのMX5を流用している。勿論、木骨だから大きなプレス機も必要ない。

モーガンは生きた化石と言われるが、実際には排気ガス規制もクリアしているわけで、クラシックカーとは違って日々の足にも使えるところがいい。以前、乗った記憶では、路面からの突き上げが大きかった。改めて広報車をお借りして評価させて頂きたいと思う。

『Morgan 4/4』英国製 2018年型
  • 全長×全幅×全高=4010×1630×1,220mm
  • 軸距=2,490mm
  • トレッドF/R=1,222/1,384mm
  • 車量=795kg(F/790 R/710kg)
  • エンジン=Ford Sigma 1,595cc
  • 内径×行程=79×81.4mm
  • 最高出力=112ps/6,000rpm
  • 最大トルク=13.4kg-m/6,000rpm
  • 最高速=185km/h
  • T/M=MT5速 (マツダMX5用)
  • サスペンション=F:スライディングピラー+コイル R:リジット+リーフ
  • タイヤ=(165/80R15)
  • 価格:7,668,000円

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