VIRGIN TRIUMPH | 番外編 3-4 親子で大激戦のトップ争い 立花 啓毅さんのコラム

番外編 3-4 親子で大激戦のトップ争い

  • 掲載日/2016年07月01日
  • 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

サイドウェイ・トロフィーも早いもので、今回(2016年5月22日)で8回目を迎えた。すごいのはこの8回全てが晴天に恵まれていることだ。また参加者も来場者も過去最高を記録したという。

立花啓毅さんのコラムの画像

場所は千葉県の袖ヶ浦にあるフォレスト・レースウェイ。ここはその名前の通り、周囲は森に囲まれ、白いペンキに塗られたピットは広く、明るい印象で気持ちの良いサーキットだ。

サイドウェイは以前にもご説明したが、英国のグッドウッドに範をとっている、英国車のお祭りである。何しろドレスコードまであり、速さを競うだけでなく雰囲気も大切にしている。

この雰囲気を少しでも高めようと、生沢徹ちゃんと私はフェローシップ委員を務めている。フェローシップとは、いわゆる風紀委員のことで、紳士的なマナーは勿論のこと、衣装も当時のスタイルを提唱する役目がある。

戦前クラスに参加する人は、複葉機のヒコーキ野郎の恰好で参加する方もいる。この日だけはアキバや渋谷のコスプレに負けないように! と言っているが、レースとの両立は難しいためか、なかなか浸透しない。

「コスプレはちょっと…」という苦手な人も、表彰式の時はジャケットとネクタイで決めている。もともとモータースポーツは紳士のスポーツで、今もF-1やル・マンのブースに伺うと正装された方が多く、美味しい食事とシャンパンが用意されている。

1900年代の初頭、貴族や領主がそれまでの戦(いくさ)に代わり、過激なレースを戦うことによって、民に強さと誇りを示したという。当時は1万ccを超える巨大なエンジンを操り、未舗装路でレースが行なわれていた。エンジンからは熱いオイルを吹き上げ、次の街に誰が最初に着くかを競う。いわゆる街道レースだった。

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話を戻し、このサイドウェイは、クラシックカーとバイクのレースが同時に行なわれる。クルマの方は、MGやエランは勿論のこと、マーク2ジャガーやDタイプジャガーまでが、コーナーをスライドさせながら全開で競い合う。ここで速いのが生沢徹の911だ。

2輪はこれまた凄く、ノートン・マンクスがずらっと並び、それに対抗するのがマチレスのG50。なかでも最強なのは、600万もするシーリーG50である。今回は綺麗なグリーンに塗られたリックマン・ベロセットも参戦した。

これらの強豪に対して我が「チーム・タチバナ」は、私がゴールドスターDBDで、息子がベロセット・スラクストン。戦前クラスにマチレスG3Lで参戦するのは、友人の一條さんである。

予選はいつものように息子がポールを取り、私はわずか0.3秒差で2番グリッド。ところが、あろうことかスイングアーム取付け部のナットが走行中に脱落し、あわや転倒しそうになった。考えられない不具合だ。

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ナットの予備はなく、決勝を諦めざるを得なかったが、そこは名メカニック横川さんの知恵で、ナット無しでの応急処置。見通しが立ったので、ゆっくりトイレへ。

実は、そこで決勝に向けて息子を如何に制するかを考えた。まずはスタートで飛び出し、1コーナーを先行すれば最高速が出る3コーナーまではDBDが有利のため、息子を離すことが出来る。

すっきりした体でグリッドに着いた。クラッチを握り、信号が赤からブラックアウトになる瞬間、ちょっとバイクが前に出てしまった。フライングが取られるかギリギリのところだ。

狙い通り、息子を押さえてトップに出たが、6コーナーでインを刺され、その後は息子と抜きつ抜かれつの激戦を繰り広げる羽目になった。

もつれるとタイムはどんどん下がり、3位に4秒以上の差を付けていたものの、振り向くとシーリーG50とリックマン・ベロセットがすぐ後ろにいるではないか。前を走る息子のスラクストンはフレームがヤワのため、コーナーで車体が逃げているのが判る。それを追い詰めチェッカーを受けた時は、2台同時だった。

計測の結果、1000分の9秒差で私が優勝。親としての威厳が保たれた瞬間でもあった。ところが、その後の表彰式ではフライングが取られ、ひとつ順位を下げられて2位という結果になった。

なにがどうであれ、息子と真剣に勝負が出来る、こんなに楽しいレースは滅多にない。

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私はレースを再開して4年目を迎えたが、今ごろになって、やっと昔の感覚が戻りつつある。再開した当時は、ツクバのタイムが以前より5秒も遅かった。乗り手が遅い分はマシンで補ってきたが、かつてのベストタイムに近づいてきたのが嬉しい。日々の努力が報われた証なのだから。

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