VIRGIN TRIUMPH | 2023年モデルのトライアンフ スラクストンRSを試乗インプレッション!アダルトライクなネオクラスーパーモデル 試乗インプレッション

2023年モデルのトライアンフ スラクストンRSを試乗インプレッション!アダルトライクなネオクラスーパーモデル

2023年モデルのトライアンフ スラクストンRSを試乗インプレッション!アダルトライクなネオクラスーパーモデル メイン写真
TRIUMPH THRUXTON RS(2023)
トライアンフのモダンクラシックシリーズのフラッグシップスポーツモデル、スラクストンRS。伝説のクラシックレーサーを現代的にアレンジした快作で、最新スポーツモデル顔負けの仕様を誇る。

伝説のクラシックレーサーを
現代的にアレンジした快作

スラクストンRSは、ボンネビルを筆頭としたトライアンフのモダンクラシック陣において、運動性能を最も引き上げられたフラッグシップスポーツモデルである。クラシカルなカフェレーサースタイルで纏め上げられていながらも、最新のテクノロジーが惜しみなく採用されており、極上のスポーツライディングを楽しむことができる。

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心臓部にはトライアンフの伝統を受け継ぐ排気量1200ccのバーチカルツインエンジンを搭載し、最高出力は105馬力。最大トルクに関しては112Nmという強い力を4250回転という低い回転数で発生させる。そのパワーを受け止める足まわりは、フロントにショーワ製倒立ビッグピストンフォーク、リアにはオーリンズ製フルアジャスタブルショックを採用。ブレーキはブレンボ製M50 4ピストンラジアルモノブロックキャリパーと、最新スポーツモデル顔負けの仕様を誇る一台となっているのだ。

トライアンフ スラクストンRS 特徴

21世紀に入り復活を遂げ
着実な進化を遂げてきた

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スラクストンの出自を知ろうとトライアンフの歴史を遡ると、1964年に登場した市販レーサーに辿り着く。当時スラクストン500マイルレースをT120ボンネビルベースの車両で優勝をしたトライアンフが、それを記念し生産したモデルに採用された名称だった。

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その当時、トライアンフの故郷であるイギリスのバイカーと言えば夜な夜なカフェに集まり、速度やタイムを競い合うという、いわゆるカフェレーサーがブームとなっていた。現代でもカフェレーサーと言えばセパレートハンドル、シングルシート、バックステップという組み合わせが定番となっているが、そのカスタムメニューは1950~60年代のカフェレーサーブームからきており、最新のスラクストンRSも同じくそのスタイルを今に繋げる一台に仕上げられている。つまり”スラクストン=レーサーの血統”であり、ストリートバイカーズはそういったモデルを手本にしカフェレーサーを仕立てていたのである。

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なお、現代にスラクストンの名称が復活したのは2005年に登場したリバイバルモデルからで、それは排気量が900ccであったり、フロントタイヤサイズが18インチであったりと、今のスラクストンRSの仕様とはだいぶ異なるものだ。

ただその頃在籍していたバイク雑誌で、トライアンフのページを担当していた私は、リバイバルスラクストンに触れる機会も多く、ワインディングやサーキットなどでも走らせた結果、それは絶対的な速さこそないものの、マシンを操ることの楽しさが凝縮された絶品のスポーツバイクに仕立て上げられていると知り、それからというもの私はスラクストンというモデルのファンなのである。

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その最新モデルにあたるスラクストンRSを日常の使い勝手や走りのパフォーマンスなど、様々な視点から考察してゆこう。

トライアンフ スラクストンRS 試乗インプレッション

パンチのあるトルクに
しっかりついてくる足まわり

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2年ほど前、現在のスラクストンRSが登場した年に試乗をしたことがあり、それ以来のテストインプレッションとなる。久しぶりに跨ってみると相変わらず細く長い燃料タンクに、クラシックレーサーのそれを思い出させてくれた。シートは810mmと数値上はなかなか高いが、前方に座れば足つき性は良い。それよりもクリップオンハンドルや後方にセットされたステップとの位置関係により、そこそこの前傾姿勢となる。細身の車体と相まって、コンパクトなライディングポジションとなることが、またスポーティな走りを掻き立ててくる魅力となっているのだ。

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小気味よくレーンチェンジをしながら市街地を走り抜けて高速道路にステージを移す。下道の速度域から感じられていたサスペンションの良い仕事が、さらに輪を増して伝わってくる。

フロントフォークがしっかりとストロークしてくれ、フロントタイヤの接地感が高いので突っ込んでいくことができる。コーナーの出口に向かってスロットルを開けてゆくとグッとリアが沈みトラクションを路面に伝えて加速してゆく。

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低回転から大きなトルクを発生することもあり、3000~4000回転程度まで回すだけでも十分に速いと思えるのだが、その先の5000回転以上のゾーンを使うことで、スポーツライディングを楽しむために作られているという車体全体のバランスの良さがしっかりと分かってくるのだ。

ワインディングでも気持ちよく走れる。進入時のブレーキワークからビッグツインの強力なトラクションまで、あらゆるコーナーで楽しむことができる。タイヤにしてもストリートからサーキットまで楽しめるメッツラー・レーステックRRが装着されている。

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スラクストンRSはクラシカルなスタイリングであるものの、その中身は最新スーパースポーツだ。古いモデルに最新の中身をコンバージョンするという話はバイク、クルマ問わず昔からよく語られてきた理想のスタイルの一つであるが、それが具現化されているのである。

一方で1、2速がややローギアードなセッティングであることや、スロットルワークに対してピックアップの良い設定であったりするので、ビギナーライダーやこの手のスポーツモデルに乗り慣れていないと、ストップ&ゴーを繰り返す市街地や渋滞路ではギクシャクしてしまうことがあるかもしれない。そのような時にはライディングモードをレインにセットすれば良い。スロットル操作に対して動きがマイルドになり乗りやすくなるだろう。

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それに前傾姿勢によってハンドルに力が入ってしまい曲がりにくいと思う人もいるかもしれないが、カカト、腰、リアブレーキの使い方を意識してスポーツモデルを扱う作法を体に染み込ませれば、その先には快感が待ち構えている。

スーパースポーツバイク好きな若者だと、どうしてもフルカウルモデルやモダンスポーツに目が向いてしまうだろう。一方でクラシックスタイル好きな若者であれば、これほどスポーツ志向の強いモデルを選ばないかもしれない。そう考えるとスラクストンRSは経験を積み重ねてきたアダルトなスポーツライダーにマッチするのかもしれない。

トライアンフ スラクストンRS 詳細写真

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トライアンフの伝統を受け継ぐバーチカルツインエンジンを搭載。排気量は1200cc、水冷SOHC8バルブで270度クランクとされている。トライアンフは歴史を繋ぐために、早くからインジェクション化、水冷化を進め現在はユーロ5もクリアしている。
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クラシカルなスタイリングにマッチするスポークホイールを採用。その影響もあり、高性能ロードタイヤでありながらチューブが入っている。フロントタイヤサイズは120/70ZR17で最新スポーツ的なもの。ブレーキはブレンボ製M50モノブロックをラジアルマウントする。
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オーソドックスな丸型ヘッドライトを採用、中央バルブ部にはトライアンフロゴがあしらわれている。ウインカーやライトステーもクラシカルな雰囲気を楽しめるデザインとしている。
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リアタイヤは160/60ZR17で、やや細身の選択と言える。どちらかというとワインディングロードなどのコーナーでの切り返しの軽快感を楽しめる設定だ。マフラーはメガホンタイプを左右2本出しとしている。
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リアフェンダー上にテールランプやリアウインカーをセットしている。ショートタイプのフェンダーであることやリアサスペンションが長めの設定であることなどからスポーティな印象を受ける。
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左右でセパレートされたクリップオンハンドル。モード切り替えやインフォメーションボタンも使いやすい。ショーワ製倒立ビッグピストンフォークのダンパー設定はフォークトップで左右個別に設定可能。
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シート高は810mm。車体がスリムなこともあり、足つき性に不安を持つことは少ないだろう。後方に向かってせり上がっているので、前に座ってしまいがち。意識して後ろ目に座りたい。なお標準でシングルシートカバーが装着されている。
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実車に跨ると分かると思うが、燃料タンクは細くて長い(伝わりにくい角度の写真で申し訳ない)。クラシックレーサーのスタイルを上手く表現している。タンク容量は14リットル。
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ミッションは6速。ステップ位置は高く後方気味にセットされている。ヒールプレートの位置、形状が良く、カカトに上手く体重を乗せることで、スポーティに車体を扱える。
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リアにはオーリンズ製フルアジャスタブルサスペンションを左右にセット。状況に応じてセッティングを楽しみたい。サスペンショントラベル量は前後ともに120mmとされている。
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速度計と回転計のツインメータースタイル。メーターベースがヘアライン仕上げ、ベゼル部分はクロームとされ高級感がある。液晶部分には残燃料計やODOメーターの他、シフトインジケーターやライディングモードなども表示される。
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シート下にはバッテリーが置かれる他、USBソケットが装備されるが、スペースの余裕はあまりない。テスト車両にはETC車載器がぴったりとセットされていた。

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