VIRGIN TRIUMPH | Moto2直系のトライアンフ新型「ストリートトリプルRS」海外試乗インプレッション 試乗インプレッション

Moto2直系のトライアンフ新型「ストリートトリプルRS」海外試乗インプレッション

Moto2直系のトライアンフ新型「ストリートトリプルRS」海外試乗インプレッションの画像
STREET TRIPLE RS(2020)

Moto2譲りのトリプルエンジンを搭載
速くて軽くて楽しい万能ネイキッド

MotoGP Moto2クラスにおいて、今年よりオフィシャルエンジンサプライヤーとなっているトライアンフ。それらが用いるエンジンと基本的に同じものを搭載していのがストリートトリプルである。675cc時代を経て、765ccの並列3気筒エンジンを搭載するマシンは現在、最もスタンダードなS、よりスポーティなR、そして最上級のRSと存在するが、今回はRSのみモデルチェンジが行われ、スペイン・カルタヘナ周辺で試乗会が開催された。

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もともとトルクフルなトリプルエンジンではあるが、今回のモデルチェンジではより常用回転域でのトルクアップを図ったという。これにはMoto2のエンジン開発チームが関わったとのことで、そのフィーリングは全てがほどほどでちょうど良いもの。トルキーながら、それがギクシャクしてしまうような唐突さがなく、ふんわりと湧き上がるかのようなフィーリング。それでいて高回転域にはしっかりパンチがあり、レーシングマシン直系のパワフルさが味わえる。

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マシンのデザインはフロント周り、リア周りともに各部刷新されているが、メインフレームやサスペンションは基本的に従来モデルを踏襲。これは2020年に限定で販売されるデイトナに関しても、675時代から車体周りは踏襲していることからもわかるように、もともとのバランスがとても良いことの証明であろう。

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走り出したフィーリングは従来型と大きく変わるのものではないものの、軽くてコンパクトで何でも出来てしまいそうなフィット感がある。これは車体自体の軽さはもちろんのこと、エンジンのリニアでトルクフルなキャラクターがそう感じさせていると思われる。どこにも引っ掛かりがなく、低回転からモリモリと力強くきれいにつながっていく。

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それを後押しするのが標準装備となっているクイックシフターだ。これはアップ方向だけでなく、ダウン側にも対応。現在は装着車が増えている機能であるが、一度使うとなかなか元には戻りにくくなってしまうという禁断のパーツである。

2速か3速かを迷うようなコーナーでは、ワイドなパワーバンドとフレキシブルさでどちらでも対応可能といった雰囲気。ワインディングであれば1速、あるいは2速上のギアであっても、失速してしまうようなことがないほどにトルクフルであるし、そのトルクがまた扱いやすい。

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最高出力は従来型と変更なしとのことだが、低中回転域のトルクアップにより、スムーズさに磨きがかかった印象だ。サーキット走行では決してびっくりするような出力ではないものの、必要にして十分。パワーに怖れることなくワイドオープンしていける快感を得られる。そしてワインディングでは、もう十分すぎるほどのパワフルさがあり、ストレスを感じさせることがない。

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このエンジンに組み合わされる車体もあたりの柔らかいフィードバックを与えてくれる。これは装着されるピレリ製ディアブロスーパーコルサSP V3の効果も大きいと思われるが、サスペンションの動きもしなやかで接地感が高く、安心して身体を預けていける。アップハンドルをこじるようにして、ちょっと乱暴な操作をしてしまったとしても、いやなウォブルや挙動は生じることがなく、自信を持ってマシンを操作していくことが可能だ。

また、電子制御の介入も自然なもので違和感がない。もともとトラクション性能が高く、しかもエンジンの出力特性がスムーズなため、乱暴な操作をしない限り予想外にマシンが滑るといったこともないのであるが、介入時の作動具合も非常にスムーズである。 ライディングモードはレイン、ロード、スポーツ、トラック、ライダー設定の5種類であるが、キャラクターの違いもハッキリしており、シチュエーションに応じたマシンを簡単に呼び出し、楽しむことが出来る。

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ストリートファイター然としたスタイリングであるが、そのキャラクターはその名の通り、ストリート全般での万能的走りからサーキット走行まで、場所を選ばない懐の深さを持っていたのだ。

トライアンフ ストリートトリプルRS 詳細写真

トライアンフ スピードツインの画像
ストリートトリプルRSの試乗会はスペイン・カルタヘナ周辺で行なわれた。午前にはワインディングを中心に市街地を含む一般道を。午後にカルタヘナサーキットでの走行であった。1周4キロ弱のトラックは本格的な選手権は行なわれていないが、テスト等ではよく使われるコース。ブラインドコーナーや高速の切り返し等、テクニカルでマシンテストにはうってつけであった。
トライアンフ スピードツインの画像
ストリートトリプル……いや、トライアンフのアイデンティティともいえる2眼ヘッドライトを継承(LED製)。しかし形状は刷新されており、より小振りでスタイリッシュに。デイタイムランニングライトが特徴的だが、日本の法規では認可されていないところが残念である。ヘッドライトがやや前方に飛び出している印象であるが開発者によれば重量配分の最適化につながっているとのこと。
トライアンフ スピードツインの画像
従来型=Moto2マシンのベースともなった765ccの水冷並列3気筒エンジンをブラッシュアップ。ユーロ5対応となっただけでなく、エギゾーストカムやミッションも変更。クランクシャフト等の加工精度も高まり、ピークパワーの数値に変わりはないが、中間トルク&パワーは 従来比9%向上。常用される領域での使えるパフォーマンスアップとなった。
トライアンフ スピードツインの画像
ダウンタイプとなるエギゾーストシステムは新設計。エキパイ部のバランスパイプにより、スムーズでトルクフルなエンジン特性を演出。カーボン製エンドキャップが装着されるサイレンサーからは心地良いトリプルサウンドが奏でられる。
トライアンフ スピードツインの画像
17.4リットルの容量を誇る燃料タンクは従来型より変更なし。スリムでホールド性良好。
トライアンフ スピードツインの画像
ガルウィングタイプのスイングアームやフレームは従来型を踏襲。高い剛性とともに、適度なしなりをもたせ、乗り心地の良さやフィードバック性を高めている。
トライアンフ スピードツインの画像
ホイールは従来型と同様の5本スポークタイプ。軽量であり、ハンドリングの軽快さに貢献しているはずだ。装着されるタイヤはピレリ製ディアブロスーパーコルサSP V3。レーシングタイヤ並みのグリップ力と共に、高い安心感を提供。マシンの評価をさらに高める逸品だ。
トライアンフ スピードツインの画像
ハンドルバーは従来型と同形状だが、バーエンドのミラーは新型。また、ブランドロゴ入りとなるハンドルクランプも刷新されている。ブレーキレバーはスパン調整だけでなく、レシオもアジャスト可能となる。
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シート表皮は高級感がありつつ、ホールド性を高める加工。また、タンデムシートは形状、高さも変更され、膝の曲がりが緩くなり、快適性が向上。
トライアンフ スピードツインの画像
オーリンズ製STX40ピギーパックサスペンションはフルアジャスタブルタイプで幅広いセッティングが可能。131ミリのストロークを確保。
トライアンフ スピードツインの画像
TFTメーターはニューデザインとなり、機能性も向上。モード切替等はハンドル左グリップ部のスイッチで、イージーに操作可能。GoProとリンクして操作出来る機能も付属。
トライアンフ スピードツインの画像
ショーワ製41ミリビッグピストンフロントフォーク(BPF)を装備。フルアジャスタブルでストローク量は115ミリ。 ブレーキキャリパーはブレンボ製M50でさすがの効きとコントロール性。
トライアンフ スピードツインの画像
幅広のハンドルで上半身は比較的リラックスしたポジションであるが、いわゆるスポーツネイキッド然とした、前傾姿勢も不都合なく取れる自由度の高さがある。車体は非常にスリムかつコンパクトで、膝部のホールド性も良好。足つき性も悪い部類ではなく、車体の軽量さもあってプレッシャーは少ない。

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