VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ スピードトリプル 試乗インプレッション

トライアンフ スピードトリプルの画像
TRIUMPH SPEED TRIPLE

トライアンフ スピードトリプル

大ヒットを記録したトライアンフ発の
ストリートファイターが完全リニュアル

それまでカスタム色の強かった “ストリートファイター” というジャンルをメーカーメイドとして仕上げることで、今の人気カテゴリとして確立した立役者が、1994年にトライアンフからデビューした、初代スピードトリプルだった。その後、排気量を 1050cc まで拡大した強力な並列3気筒エンジンを強靭なアルミフレームに搭載し、剥き出しの2灯ヘッドライトや片持ち式リヤアームなど、奇抜でアグレッシブなスタイリング纏うことで、トライアンフのアイデンティティを象徴する存在となったスピードトリプルは、実は世界中で累計6万5,000台以上のセールスを記録する、同社ナンバーワンの大ヒットモデルでもある。 今回、完全リニューアルされて登場した新型スピードトリプルは、エンジンパワーを強化するとともに軽量化を進め、新設計のシャーシを投入することで一段とスポーツ性能を高めているのが特徴だ。各メディアで評価の高いストリートトリプルRのハンドリングに人間工学的な要素を盛り込むなど、新時代のフラッグシップに相応しいフィーチャーが与えられている。

トライアンフ スピードトリプル 特徴

トライアンフ スピードトリプル 写真
トライアンフ スピードトリプル 写真
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新世代のシャーシと足回りが
さらなる高次元の走りを実現

トライアンフのネイキッドスポーツの中で、フラッグシップ的存在として今日のブランドイメージを築いてきたのがスピードトリプルである。同じ並列3気筒エンジンでも、ミドルレンジを担うストリートトリプル系が 675cc の程良いパワーとジャストサイズの車格であるのに対し、従来型は 1050cc の強烈なパワーと大柄な車体により、扱えるライダーを選ぶという一面もあった。今回のフルモデルチェンジにより、持ち前のパワーと力強いトルクを生かしつつ、後発のストリートトリプルRのような軽快なハンドリングと運動性能を併せ持つ新世代のネイキッドスポーツとして登場した。

トライアンフ スピードトリプル 写真

際立った特徴は、完全新設計のシャーシである。アルミ鋳造フレームは剛性を最適化するとともにコンパクト化が進められ、エンジン搭載位置を3mm前方に移動し、7度前傾させて前輪荷重を増やすことにより、正確で安定感のあるハンドリングを実現。さらに片持ち式スイングアームの全長を 18.5mm 延長して路面追従性の向上を図りつつ、前後ホイールそれぞれ1kg以上の軽量化を含むトータル3kgの軽量化などにより、従来モデルのリア寄りの重量配分では成しえなかった高次元のコーナリング性能を実現している。

排気量 1,050cc 水冷並列3気筒DOHC12バルブエンジンは従来モデルを踏襲するものの、排気系の見直しと ECU の進化により、クラス最高レベルだったトルクを8%、パワーを5ps上乗せして 135ps にまで引き上げられている。?また、人間工学的な研究から、ライディングポジションをよりコンパクトかつライダーが運動しやすいデザインとすることで操作フィールを向上。サスペンションもフロントに φ43mm 倒立タイプ、リアにリンク式モノショックを装備。前後ともショーワ製のフルアジャスタブルタイプとし、ライダーの要求に応じた細やかなセッティングに対応している。ブレーキシステムにはレースシーンでも定評のあるブレンボ製4ピストン、4パッド対応のラジアルマウントキャリパー&ラジアルマスターシリンダーを装備。0.5mm薄肉化された φ320mm ダブルディスクにより、エンジンパフォーマンスに見合った強力かつプログレッシブな制動力を獲得している。

その他にもトライアンフでは初のイモビライザーを標準装備、多機能メーターにはサーキットユーザーを想定したギヤポジション表示機能やラップタイム表示機能、タイヤ空気圧監視システム(ディーラーオプション)などを備えるなど多様なスペック向上が図られている点にも注目したい。

トライアンフ スピードトリプル 試乗インプレッション

スーパースポーツと
真剣勝負で張り合える

トライアンフ スピードトリプル 写真

まず小さくなった。跨ってみるとそれを実感。バイクとのインターフェイス、つまり、ハンドル、シート、ステップの3点の距離が近くなった感じで、ライポジそのものがコンパクトになっている。ハンドル位置は以前にも増して低くなったが、タンクが短くなってハンドルが近くなった分、前傾はそれほどきつくはない。従来モデルはアングロ・サクソン体型を基準にしたと思える大柄な作りで、シートは高め、タンクにもボリュームがあったため、跨った瞬間から「これは手強いぞ…」と思わせるところがあったが、新型の場合、そんな気負いもなくすんなりと乗り出せる気分にさせてくれる。

スタイリングも従来にも増して個性的。丸目がツリ目になったり、と好き嫌いはハッキリ分かれるだろうが、よりクールに洗練されていることは確かだ。個人的には走りに不要なモノはすべて切り落としたような潔さに好感が持てる。バイク自体がちょっと若返った感じだ。

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エンジンはパワフルだ。しかし、以前のようにドーンと背中をどつかれるような唐突さはなく、スロットル開けしなのツキはマイルドに洗練されている。中速域での重厚なトルク感は薄らいだがその分上昇感は増していて、より高回転まで引っ張る楽しさが出てきた。

タコメーターの上部にブルーの LED でシフトタイミングを知らせるインジケータがあり、4,000rpm から 5,000rpm にかけて点灯するのだが、それも一瞬のうちに通過してしまう。加速中はまず凝視することなど出来ないが、視界の片隅にチラッと入るだけで確認出来るので便利だ。最初は急かされるようでシフトタイミングが早い気もしたが、慣れてくれば、このトルクで普通に流すならミドルレンジが美味しいと思う。

どこまでも一定にトルクが出続けてくれるような、並列3気筒独特のスーパーフラットな出力特性なのだが、1050ccトリプルが真の実力を発揮するのは 7,000rpm から。トルクの波にうまく乗せると、なんと2速からでもパワーリフトが可能! これはリッタークラスのスーパースポーツでもなかなか出来ない芸当だ。?ハンドリングは軽快さの中にもしっとりとした安定感があり、コーナリングがとても楽しい。シャーシがコンパクトになり、ホイールが軽くなったためか、特にバネ下が軽い感じで、切り返しの俊敏さなどはとてもオーバーリッタークラスとは思えないほど。ネイキッドというよりはスーパースポーツのそれに近い感じだ。直立からフルバンク付近まで非常に素直で、コーナーではフロントを中心に一定の接地感を保ったまま綺麗にラインを描いてくれる。従来モデルは倒し込みと同時にフロントが切れ込み、立ちが強くなる傾向があったが、そうしたクセはきれいに解消されている。新型ではエンジン搭載位置を前方に移動し、スイングアーム長を伸ばすなど、まるでスーパースポーツと同じ設計思想で車体のディメンションをリニュアルしている。この走りっぷりも、そう聞けばさもありなん、といったところだ。

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サスペンションも前後ともしなやかで良く動くのだが、STDのセッティングだとフロントが低いまま荷重が常にかかっている感じで、ブレーキングで沈み込み過ぎてしまう。そこで、プリロードを少しかけて伸び側ダンパーをやや弱めることでフォークの戻りを早くし、フロントを動的に高くすると、姿勢がフラットになって乗りやすくなった。好みもあるだろうが、せっかくフルアジャスタブル機構が付いているのだから、これを生かさない手はないだろう。

ブレーキも秀逸だ。「加速力」も凄いが「減速力」はもっと凄い。ブレンボ製のラジアルキャリパー&ラジアルポンプの威力は強力そのもので、ちょっとストリートでは使いこなせないほど。特にタイヤが冷えているときなどは扱いに注意してほしい。

ついつい走りのパフォーマンスばかりが目についてしまうが、スピードトリプルは欧州の香り漂うエレガントなマシンだ。街角に停めておくだけで絵になる。そんな “都会育ち” な雰囲気もまた魅力である。

トライアンフ スピードトリプル の詳細写真

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スピードトリプルのアイデンティティでもあるデュアルヘッドライトは従来の丸形から多角形にデザインを変更。モダンでアグレッシブな印象になった。
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シート高は10mm低くなり幅もスリム化されて足着き性が向上。シート前後長は逆に長くなり、ライダーの動きの自由度も増している。
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テーパー加工が施されたアルミハンドルバーは、国産ネイキッドに比べるとやや幅広でかなり低い位置にセットされている。タンクも短くなりライポジはよりコンパクトに。
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水冷並列3気筒1050ccエンジンは基本的に従来どおりだが、排気系とECUの改良により最大トルクで8%、最高出力で5ps向上している。
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アップタイプの2本出しマフラーも従来の円筒型からよりコンパクトでスリムなデザインとなった。重量も1kg軽量化されている。
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完全新設計のアルミ鋳造フレームはストリートトリプル系に倣ってコンパクト化が進められ、エンジン搭載位置も前方に移動。新たにセットされたサイドパネルが低く前傾したシルエットを強調している。
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0.5mm薄くなり、バネ下の軽量化が進んだφ320mmデュアルディスクは、ブレンボ製ラジアルマウントキャリパーとの組み合わせで強力な制動力を発揮。
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フロントは倒立フォークを採用。マスターシリンダーにもブレンボ製ラジアルマウントタイプを装備し、足回りはハイグレード。
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印象的な片持ち式スイングアームは全長を18mm延長するとともに1kg軽量化することで路面追従性をアップ。ホイールも前後とも軽量化されている。
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リアサスには新型のリンク式モノショックを採用。サスペンションは前後ともショーワ製のフルアジャスタブルタイプだ。
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ステップやペダルはアルミ製で強度も十分、シフトタッチもカチッとしていて操作しやすい。ヒールプレートもしっかりした作りだ。
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アナログ式タコメーター上部にはシフトタイミングを知らせるLEDインジケータを装備。デジタルメーターには速度、燃料、トリップ、メンテナンス時期、ギアポジション、ラップタイム、空気圧(ディーラーオプション)を表示。

SPECIFICATIONS –TRIUMPH SPEED TRIPLE

トライアンフ スピードトリプル 写真

価格(消費税込み) =
?154万3,500円
?163万8,000円(ABS装備モデル)

国内入荷の2011年モデルはファントムブラック、クリスタルホワイト、ディアブロレッドの3色をラインナップ。

  • ■エンジン型式 = 水冷4ストローク並列3気筒 / DOHC4バルブ
  • ■総排気量 = 1050cc
  • ■ボア×ストローク = 79mm × 71.4mm
  • ■最高出力 = 135PS/9,400rpm
  • ■最大トルク = 111Nm/7,750 rpm
  • ■トランスミッション = 常噛段6リターン
  • ■サイズ = 全長2,086×全幅728×全高1,033mm
  • ■シート高 = 825mm
  • ■ホイールベース = 1,435mm
  • ■車両重量 = 219kg(整備重量)
  • ■タンク容量 = 17.5L
  • ■Fタイヤサイズ = 120/70-17
  • ■Rタイヤサイズ = 190/55-17

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