VIRGIN TRIUMPH | トライアンフのロケット3GTを試乗インプレ!唯一無二、他を寄せ付けない孤高の存在 試乗インプレッション

トライアンフのロケット3GTを試乗インプレ!唯一無二、他を寄せ付けない孤高の存在

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TRIUMPH ROCKET 3 GT(2021)
2500cc(2458cc)、直列3気筒。地球上において最大排気量を誇る量産市販バイク、トライアンフ・ロケット3GT。その体躯は触れるものを拒むような大きさを誇り、モーターサイクル界の巨人的存在だ。

モーターサイクル史において、
後世まで語り継がれる強烈な存在

ゴットリーブ・ダイムラーが開発した内燃機関エンジンを搭載し、この世にモーターサイクルが誕生したのが1885年のこと。それから130年以上の年月が経ち、化石燃料や排気ガスによる環境問題の影響から、将来的に電気モーターの時代に移行してゆくことも囁かれるようになった。しかし人類は新しい生活を求める一方で深層心理的に大排気量、大出力を欲しているのではないかと私は考えている。

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市販量産モーターサイクル最大排気量を誇るロケット3、その初代モデルが登場したのは2004年のこと。それは2300㏄もの巨大排気量エンジンを採用し、未曾有のパフォーマンスで世界中のライダーを驚かせた。その後2017年に一度は生産終了となっていたロケット3だったが、2019年に新設計エンジンを搭載した2代目モデルが登場し復活を遂げた。強烈なパフォーマンスにさらに磨きをかけたロケット3、今回はツーリング志向を強めたロケット3GTにスポットをあてる。

※初代モデルはロケットIII表記が正しいが、この項ではロケット3に統一している。

ロケット 3 GT 特徴

”遊び”ではなく、本気で超真面目
クールでワイルドなキャラクター

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先日、他メーカーの車両だったが、大型クルーザーの撮影を行っていた時に、通行人から「このバイクの排気量はいくつか?」と声を掛けられることがあった。そのようなことはこれまでバイクメディアに携わってきて多く経験しており、別に驚くようなことでも無いのであるが、やはり人々はより大きくて強いモノに対し、生理的に憧れを抱いているのだと思う。現在ハーレーダビッドソンのメインエンジンとなっているミルウォーキーエイト114エンジンの排気量は1868ccVツイン、昨年BMWモトラッドからリリースされたR18は1801ccボクサーツインを採用し注目を浴びた。日本メーカー勢で挙げるとゴールドウイングが1833㏄水平対向6気筒を搭載。どれも巨大な心臓部でキャラクターが引き立っているモデルばかりだ。がしかし、今回取り上げるトライアンフ・ロケット3GTは、それらのモデルがイージーに思えるほど別次元にあった。

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惜しまれつつも初代ロケット3がラインナップから外れたのは2017年のこと。後継モデルが発表されないまま生産を終了したこともあり、一代限りだったかと思われていたが、それから2年後の2019年初頭にトライアンフはロケットTFCというモデルを発表することになる。それはトライアンフ・ファクトリー・カスタムという特別限定仕様だったのだが、誰の目にも新型ロケット3をイメージさせたものであり、約半年後にやはりといった感じで二代目ロケット3がリリースされたのだった。

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そもそも初代ロケット3から特殊とも言えるモデルであり、生産販売台数は大きなものではなかった。それを改めて新規開発し新型モデルを投入することは、企業の力が無くては成しえることができないものであるし、やはり量産市販バイク最大排気量という称号はトライアンフ・ロケット3にこそふさわしいと多くの人々が考え求めていたのだ。

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ロケット 3 GT 試乗インプレッション

あらゆる回転域で異次元
乗って知るべき、別世界

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様々な大排気量モデルに触れる機会があるが、その中でもトライアンフ・ロケット3GTは巨大だ。フルドレッサーモデルのように、フロントカウル、トップケース、サイドケースが備わっているわけでもないのだが、シッティングポイントやハンドルポジションなどが大柄ということもあり車両を起こすだけでも最初は気を使った。

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エンジンを始動すると何とも形容しがたいアイドリングサウンドが響く。まずこの音がとても心地良い。排気量2458ccのエンジンはトライアンフが得意とする直列3気筒なのだが、他のモデルと違い縦置きとされている。よって、スロットルをあおると車体が横に押し倒されるようなトルクリアクションが発生する。ギアを1速に入れてクラッチを繋ぐと、何もせずとも車体を前へと押し出す。時速20キロ少々の速度なのだが、そのままセカンドに入れても十分に走れる。超ド級トルクエンジン恐るべしと、スロットルを操ることもなく感じられるのだ。初代ロケット3と比べて車重は40キロ程の軽量化を実現しており、その影響はハンドリングに如実に表れている。初代モデルでも想像以上に”走るバイク”と感じていたが、それに輪をかけてスムーズな走りを楽しめるキャラクターになっている。フロント150/80R17、リア240/50R16サイズのタイヤは、乗る前はその太さがハンドリングをネガティブにしているのではないかと考えていたが、強大なパワーとトルク、そして車重を受け止めるためのサイズであることが実際に走らせることで分かった。

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そしてサスペンションもトラベル量が少なく、加速時に段差があると飛ばされそうになることもあったが、むしろあの場面でトラベル量が多いとその後の挙動を収集することが難しくなってしまう。ブレーキの効きやタッチは良いが、ゆっくり走らせているつもりでもスピードは出てしまっていることや車重をあらかじめ念頭に置き、余裕を持った制動距離を確保して走らせることがベターだ。つまり何を伝えたいかというと、普通に乗ることもできるのだが、やはりクセは非常に強いということだ。

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ただそのクセをまったく忘れさせてくれるほどにトルク、そしてパワーが強烈だ。先に述べたように1000回転少々のアイドリングからレッドゾーンまで、どこまでも異次元の力強さを感じられる。まったく他のバイクとは違う領域にロケット3GTのライディングプレジャーはあるのだ。

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1週間ロケット3GTを借用し、毎日、普段通りに触れてみた。それはそもそもこれほど大きく力を持ったモデルであると、日常的に使うことは難しいのではないかと思っていたからだ。しかしその心配は大きな間違えだった。ビッグネイキッドモデル同様の使い方ができてしまうのだ。もちろん手に負えないパワーがあるので、その点には気を使わなくてはならないが、むしろそれこそが魅力であり、いかなるステージでも、右手の操作一つでワープ移動できてしまう。ステップがフォワードポジションにセットされているので、楽なライディングポジションなのだが、小柄な体格のライダーではフィット感が薄いと思われる。その点、実車に一度跨るなどし確かめて欲しいものなのだが、今回のテストを通じて私はロケット3GTを所有してみたいものだと思った。

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アメリカにシボレーのV8スモールブロックエンジンを搭載するボスホスというバイクブランドがあり、それこそ真の最大排気量だと意見する人もいるが、以前乗った感触では、あれを毎日通勤通学で使用するのは少々躊躇する(それも1週間単位で借りれば違う気持ちになるかもしれないが)。一方フルカウル、フルケースのフルドレッサーモデルだと、どうしてもホリデーツーリングという使い方になってしまいがちだ。その点ロケット3GTは、毎日ガンガン乗り回して、さらにロングツーリングも快適にこなせる素質があるのだ。現行ロケット3には今回テストしたGT以外に、ハンドルやステップ位置をはじめ装備が異なるロケット3Rというモデルもある。そちらも機会があれば乗ってみたいと思う。

ロケット 3 GT 詳細写真

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ボア、ストローク、110.2×85.9mmとする2458cc水冷DOHC直列3気筒。1気筒あたり820ccにもなるこのエンジンのポテンシャルは最高出力167馬力を6000回転で、最大トルク221Nmを4000回転で発生する。他に比べる物が無い唯一無二の存在だ。
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150/80R17サイズのフロントタイヤで、巨大な力を持つ車両の舵を取る。サスペンションは減衰力調整を可能としたショーワ製φ47mm倒立フォークで、トラベル量は120mm。多少クセのあるハンドリングだが、ディメンションを考慮すれば普通と言える。
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ロケット3のアイデンティティとも言える丸目2灯ヘッドライトが備わるフェイスマスク。この顔つきやスタイリングから、ロードスターやクルーザーなどのセグメントが連想されるが、それらとも比較することが難しいキャラクターとなっている。
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ハイカロリーエンジンをクールに保つための大型ラジエーターを装備している。寒くなってきた11月のテストだったために、エンジンが発する熱も心地よいと感じられたが、夏場の市街地ではかなり厳しい熱さとなることだろう。
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ロケット3GTではフォワードコントロール位置のステップとなる。ステップを踵で踏ん張り、ライディングシートの後端に腰を押し付けるツッパリ棒状態にすることで、強烈な加速Gで体を支える格好となる。かなり前方にあるので、慣れが必要。
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片持ちスタイルのシャフトドライブであり、シャフトドライブ特有のテールリフトも感じられるのだが特に嫌な感触ではない。下部前方に排気口が一つ見える。車体右側に2つの排気口があり、3本出しマフラーとなっている。
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様々なインフォメーションを表示することができるTFTマルチファンクションディスプレイ。表示スタイルも変更可能だ。スマートフォンなどとブルートゥース接続することが可能なほか、オプションでGoPROコントロールシステムが用意されている。
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左手のスイッチボックスでは、ロード、レイン、スポーツ、ライダーセッティングのライディングモード選択や、クルーズコントロール、ロケット3GTに標準装備となるグリップヒーターなど多くの機能を操作することができる。
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適度な硬さとクッション性を兼ね備えた厚みのあるシート。773mmと低い数値ではないので、足つき性は良好とはいえないものの、その分バンク角などが深く設定されている。パッセンジャー側のバックレストはロケット3GT標準装備。
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丸みを帯びた柔らかなラインを描く大きなフューエルタンク。容量は20Lと十分。ロケット3GTのスタンダードモデルには、テスト車両のシルバーの他、ブラックのボディカラーが用意されており、後者の車両価格は6万円抑えられている。
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リアサスペンションはリンクを介してセットされている。リアタイヤサイズは240/50R16とされ、フロントより1インチ小さい。5穴でセットされる20本スポークホイールは、美しい仕上げ加工が施されており、リア周りを印象付けている。
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テールセクションのデザインも特徴的。テールランプ&ストップランプは、リアフェンダー内にインサートされており、ウインカーはスイングアームに取り付けられたナンバーステー側にセットされている。
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シート下にはバッテリーなどが収められているほか、パッセンジャーシート下には、フタ付きの小物入れが用意されているので、ETC車載器や車検証類、プラスアルファを収めることができる。
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パッセンジャーのステップは、シート下に設置されている。畳んだ状態では、その存在が分からないようにデザインされており、ディテールまで入念に考えられていることが伝わってくる。

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