VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ デイトナ675R 試乗インプレッション

トラインフ デイトナ675Rの画像
TRIUMPH DAYTONA 675R

トライアンフ デイトナ675R

優れた資質が世界中で絶賛された
並列3気筒スーパースポーツ

世界各国で開催されるSS/ST600レースの盛況ぶりを考慮して、トライアンフがミドルスーパースポーツ市場への参入を開始したのは2000年から。当初の『TT600』や『デイトナ600/650』では、日本車と同じアルミツインスパーフレーム+並列4気筒という構成を採用していたトライアンフだが、2006年になると、独創的な形状のアルミツインビームフレームに、自社のアイデンティティと言うべき並列3気筒を搭載する『デイトナ675』をリリース。発売直後から世界中で高評価を獲得し、ヨーロッパの2輪誌が主催するマスターバイクで2連覇、スーパーテストで4連覇を達成したこのモデルは、昨今ではトライアンフを語るうえで欠かせない1台となっている。

そんなデイトナ675は、デビューから3年目を迎えた2009年に、改善項目が約50ヶ所に及ぶマイナーチェンジを敢行し、2011年になると上級モデルとして、オーリンズ製前後ショックやブレンボ製ブレーキを装備する“R”を追加。そして2013年型ではシリーズ初のフルモデルチェンジが行われ、日本ではイギリス本国から約1年遅れとなる2014年から、新型『デイトナ675/R』が発売されることとなった。

トライアンフ デイトナ675R 特徴

トライアンフ デイトナ675R 写真
トライアンフ デイトナ675R 写真
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ほとんどすべてのパーツを新設計することで
日本勢に対するアドバンテージを広げる

従来型を知っているライダーに「新型デイトナ675/Rの特徴は?」と訪ねたら、おそらく、ほとんどの人が「マフラー」と答えるだろう。確かに、新旧デイトナを区別する最大のポイントは、マスの集中化と軽量化を目指してセンターアップ→ショートタイプに刷新されたマフラーである(厳しい騒音規制に対応するため、日本市場専用のマフラーはショートではなくなったが)。とは言え、新型デイトナ675/Rに使われているパーツはほとんどすべが新設計で、特徴と言うならすべてが特徴、と言っても過言ではないのだ。

中でも最も注目すべき要素は、ボア×ストロークのショートストローク化(74×52.3→76×49.6mm)を図ると同時に、バルブ形状やリフト量の見直し、圧縮比の変更(12.65:1→13.0:1)、ツインインジェクター化、スリッパークラッチの導入などが行われたパワーユニットで、最高出力や最大トルクに大きな変化はないものの、新型は従来型を大幅に上回る扱いやすさと信頼性を獲得。一方のシャシーは、一見しただけでは従来型を流用しているように思えるけれど、こちらも従来型を上回るハンドリングを目指して、フレームやスイングアーム、前後サスペンション、前後ホイール、外装部品といった大物パーツを新作としている。なおコーナリング性能に磨きをかけるべく、キャスター角を約1度立て(23.9→23.0度)、ホイールベースを20mm短縮(1,395→1,375mm)しているのも見逃せない要素で、近年は控えめな仕様変更しか行っていない日本600cc並列4気筒勢を尻目に、新型デイトナ675/Rは劇的な進化を果たしているのだ。

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昨年までと同じく、2014年型デイトナ675もスタンダードとRが併売されるが、従来型の価格差が25万円以上あったのに対して、今年度はスタンダードが138万5,000円、Rが158万8,500円だから、価格差はぴったり20万円。オーリンズ製前後ショックやブレンボ製フロントブレーキ(スタンダードはカヤバ+ニッシン)に加えて、クイックシフターや各種カーボンパーツを標準装備することを考えると、たいていの人はRに対して、“お買い得”というイメージを抱くのではないだろうか。

トライアンフ デイトナ675R 試乗インプレッション

理想的なフルモデルチェンジによって
大幅に広がった奥行きと間口

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ロングセラーモデルの世代交代は、なかなか難しいものである。あくまでも個人的な印象だが、近年になってフルモデルチェンジを敢行したドゥカティ『1199パニガーレ』やBMW『R1200GS』、あるいは2012、2013年にマイナーチェンジを受けたホンダ『CBR1000/600RR』などが、すべての点で先代を上回っていたかと言うと、必ずしもそうとは言い難い。だがこの点に関して、新型デイトナ675/Rは非の打ちどころがなかった。従来型オーナーが体験したら十中八九以上の確率で、乗り換えたくなるに違いない。そう断言できるほど、新型の動力性能は劇的に向上していたのだ。しかし、新型デイトナの魅力が速さだけだと思ったら大間違いである。これは僕にとって予想外の展開だったものの、なんと新型デイトナは、いい意味で日本車的な優しさとフレキシブルさを身につけていたのだ。

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その優しさとフレキシブルさを象徴するのは、全面刷新されたシャシーだろう。旧型のシャシーはサーキットと見通しのいいワインディングロードに的を絞った高荷重域重視の設定で、中途半端な荷重しか与えられない状況ではストレスを感じることがあったものの、新型は荷重域や速度を問わず、どんな場面でも気持ちよく曲がれるし、スーパースポーツらしからぬと思えるほどに乗り心地も良好。ちなみに、R専用の装備であるオーリンズ製前後ショックは、旧型ではトライアンフが行った設定がいまひとつだったようで、本来の性能を発揮できていなかったけれど、新型はこの点も完璧で、オーリンズならではのしなやかさと手応えをきっちり堪能できる仕上がりになっていた。

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一方のエンジンに関しては、まずは中~高回転域の吹け上がりが格段に鋭くなったことや、旧型に存在した7,000rpm付近の谷がきれいに解消されたことなどを褒めないわけにいかないけれど、僕が新型で最も感銘を受けたのは、スロットルレスポンスの見事な調教だった。旧型はこの点に関して少々ラフな部分があって、アクセルを開けて力が出てくるのを待ったり、逆にアクセル開度に対して力が出すぎたりするような場面があったものの、新型のスロットルレスポンスはいついかなるときも従順かつ素直。だから乗り手はどんな状況でも、欲しいときに欲しいだけの力を過不足なく引き出せるのである。

ちなみにエンジンに関しては、スリッパー式となった新型クラッチもなかなかの好印象だった。リアタイヤのホッピングを気にせず、コーナー進入時に自信を持ってシフトダウンを行えることは、事前に予想していた通りだったものの、新型デイトナのクラッチは、スリッパー式になると同時にアシスト機能も備わっているから、操作力が非常に軽い。この軽さのありがたみはサーキットではさほど感じられないけれど、ストリートでは大きな武器になるだろう。

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この他にも使い勝手のいいABSや絶妙の反応を見せてくれるクイックシフターなど、新型にはさまざまな魅力があるのだが、奥行きに加えて間口を大幅に広げたというのが僕の新型デイトナに対する印象で、この乗り味ならスーパースポーツ初心者からエキスパートライダーまで、どんな人が買っても後悔することはないと思う。いずれにしても、デイトナ675は見事なフルモデルチェンジを行ったのだ。冒頭で述べたように、近年のロングセラー車の刷新には疑問を持つことが多い僕だが、そういう中にあって新型デイトナは、理想的と言いたくなる世代交代を実現していたのである。

トライアンフ デイトナ675R の詳細写真

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外装部品はすべて新作。デュアルヘッドライトの間に逆三角形のエアダクトを設置するフロントのマスクの構成は従来型と同様だが、ダクトは大型化され、その上部にはLED式ポジションランプが新設されている。ヘッドライトはマルチリフレクター+LED式。
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左右に“エラ“が張ったガソリンタンクも、ホールド感を重視してニーグリップ部の構成を改めた新作。タンク左右のメーカーロゴは、初期のデイトナ675では伝統のスタイルを踏襲していたが、2010年型以降は新作ロゴが導入されるようになった。
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マフラー形式をセンターアップ→ショートタイプに改めたことで、シート周辺は従来型より格段に軽快な印象になった。新型デイトナ675Rも含めて、近年のトライアンフは上級仕様のシートレールをレッドにペイントするケースが増えている。
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全面新設計となった並列3気筒は、出力とトルクの増強を目指してボア×ストロークを74×52.3→76×49.6mmに変更。バルブリフト量はINφ9.25→9.4mm/EXφ8.5→8.7mmに拡大され、圧縮比は12.65:1→13:1に高められている。その他にもピストンクーラーの改良や1、2速ミッションのドッグ形状の見直しなど、変更点は多岐に及ぶ。
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旧型では一体式だったシリンダーとアッパークランクケースの別体化を図ったのは、エンジンの強度を追求した結果。スロットル制御は流行のフライバイワイヤではなく、オーソドックスなワイヤ式を選択。あらゆる回転域の燃料供給を最適化するため、インジェクターは気筒当たり1個から2個された。
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新型デイトナ本来のマフラーはショートタイプだが、厳しい騒音規制に対応するため、日本仕様は延長サイレンサーを追加。ただし、同様の機構を採用したドゥカティ・パニガーレやMVアグスタF3シリーズのように、最高出力は落ちておらず、本国仕様と同じ128psを発揮する。
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Rはブレンボ製のラジアルマスターとラジアルマウント式キャリパーを標準装備(ディスクはスタンダードもRもブレンボ)。ABSの介入度合いはオン/オフ/トラックという3種から選択でき、トラックモードでは相当に激しいブレーキングをしない限り、ABSは作動しなかった。
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左右非対称デザインとなったスイングアームには、従来型と同様にピボット位置可変機構が備わっている。16/47→15/47に変更された2次減速比は、ライバルの日本製600cc並列4気筒スーパースポーツと比較すると、かなりローギアードな設定だ(ドライブが小さく、ドリブンがかなり大きい)。
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フロント3.50-17、リア5.50-17の5本スポークホイールも新作で、標準タイヤはピレリ・ディアブロスーパーコルサV2。ブレンボ製片押し1Pキャリパー+φ220mmディスクというリアブレーキの構成は、スタンダードとRに共通。
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リアショックはコンプレッションとリバウンドダンパーの経路が完全に独立したオーリンズTTX36で、バネレートは従来型の110→100N/mmに下げられている(フロントの9.5N/mmは不変)。なおスタンダードが採用するカヤバ製前後ショックも、セッティングを改めた新作だ。
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ステップの基本は従来型と同様だが、ホールド感の向上を狙ったヒールガードはニューデザイン。この写真では見えないものの、左側ステップのシフトロッドの途中には、クラッチを切らずにシフトアップが行える、クイックシフター用のセンサーが備わっている。
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アナログ式タコメーターと液晶モニターを組み合わせるメーターユニットは、従来型の構成を継承。ABSの切り替えは左側スイッチボックスで行う。RのフロントフォークはオーリンズNIX30で、左側にコンプレッション、右側にリバウンドダンパーのアジャスターが備わる。

SPECIFICATIONS – TRIUMPH DAYTONA 675R

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価格(消費税込み) = 158万5,000円

※表示価格は2014年5月現在

日本車に真っ向勝負を挑む並列3気筒スーパースポーツ。イギリス本国から約1年遅れで日本に上陸した新型では、シリーズ初のフルモデルチェンジが行われている。

  • ■エンジン型式 = 水冷DOHC 並列3気筒 4バルブ
  • ■総排気量 = 675cc
  • ■ボア×ストローク = 76×49.6mm
  • ■最高出力 = 128ps/12,500rpm
  • ■最大トルク = 74Nm/11,900rpm
  • ■燃料供給 = フューエルインジェクション
  • ■トランスミッション = 6速
  • ■サイズ = 全長2,045×全高1,112mm×全幅695mm
  • ■ホイールベース = 1,375mm
  • ■シート高 = 830mm
  • ■車両重量 = 184kg
  • ■燃料タンク容量 = 17.4リットル
  • ■Fタイヤサイズ = 120/70 ZR17
  • ■Rタイヤサイズ = 180/55 ZR17
  • ■ブレーキ形式(F/R) = 油圧式ディスク/油圧式ディスク

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