VIRGIN TRIUMPH | 他に類を見ない奥深い「味」を持つ名門ボンネビルのT100 バド・イーキンス・スペシャル・エディションを試乗インプレッション 試乗インプレッション

他に類を見ない奥深い「味」を持つ名門ボンネビルのT100 バド・イーキンス・スペシャル・エディションを試乗インプレッション

他に類を見ない奥深い「味」を持つ名門ボンネビルのT100 バド・イーキンス・スペシャル・エディションを試乗インプレッション メイン写真
TRIUMPH T100 BUD EKINS SPECIAL EDITION (2020)
1959年の初代モデル登場から、半世紀以上たった今もなお世界中のライダーを魅了してやまない名門ボンネビル。当時ハリウッドでスタントライダーとして活躍し、トライアンフとも深く精通していた”バド・イーキンス”を称えた特別仕様が登場した。

ソフィスティケートでありアイデリック
両極を上手くバランスする希有な一台

2019年のEICMA(ミラノショー)にて発表されたトライアンフのニューモデル、T100/T120 BUD EKINS SPECIAL EDITIONが日本にも上陸した。これは1960年代にアメリカで活躍したスタントマン、かつオフロードレーサーでもあるバド・イーキンスの功績を称えたモデルである。トライアンフのモダンクラシックシリーズらしく、都会的な街並みにおいても、牧歌的な風景の中にあってもとても似合うモデルとされているのだが、恥ずかしながらそもそも私はバド・イーキンスという人物の存在すら知らなかった。そこで書棚に並ぶ様々なバイク史文献を見返してみたが、そこにも彼の名前は出てこなかった。スタントマンという立場上、あくまでも裏方に徹していたということなのだろうが、ではなぜ今そんなバド・イーキンスという人物をフューチャーしたのかを、まずは考えることから始めてみる。

T100 バド・イーキンス・スペシャル・エディション 特徴

伝説のスタントライダー『BUD EKINS』とは何者なのか
氏の生き様は、その後のトライアンフを昇華させた

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バド・イーキンスはスタントマンとして活躍する傍ら、トライアンフ・ディーラーも営んでいた。さらに50年代にカリフォルニアで開催されていたカタリナグランプリやビッグベアデザートランで3度の優勝、世界最古のオフロードバイクレースと言われるインターナショナル・シックス・デイズ・トライアル(現在のISDE)でのゴールドメダル獲得の他、数々のレースで栄光を勝ち取ったプロライダーでもあった。そしてそのほとんどはトライアンフのモーターサイクルで成し遂げたものでもあった。

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当時を代表するハリウッドスターであるスティーブ・マックイーンとも親しい仲であり、 「The Great Escape(大脱走)」の劇中でもっとも印象的なシーンであるトライアンフでの大ジャンプは、イーキンスが行ったものだったと後に明かされている。イーキンスは1980年にオフロードモータースポーツの殿堂入りを、1999年にはAMAモーターサイクルの殿堂入りを果たしており、2007年に77歳でこの世を去っている。

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アメリカのフロリダ州に住む世界的にも有名なビンテージトライアンフコレクター、マイク・クローネという人物がいるが、70歳を超える彼は10代の頃、バド・イーキンスが営むディーラーに10年通い続けたそうだ。イーキンスはハリウッドスターをはじめ、アメリカの若者たちにトライアンフブランドを愛してもらうために、誰よりも努力していたと当時のことを振り返る。 英国生まれのモーターサイクルブランドであるトライアンフが海を越え、アメリカという地で人気を博するようになったのはバド・イーキンスの存在をなくしては成しえなかったということなのだ。その彼を今一度リスペクトする形で、スペシャルモデルが生み出されたのである。バド・イーキンス・スペシャル・エディションはT100とT120の2モデルが用意されており、この項では前者のテストを行う。

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T100 バド・イーキンス・スペシャル・エディション 試乗インプレッション

ただ走らせるだけで得られる多幸感
バイクのある人生を楽しめる素敵なバイク

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T100バド・イーキンス・スペシャル・エディションは、1959年に登場した初代ボンネビルをイメージしつつ現代に蘇らせたボンネビルT100をベースとしており、そこに専用パーツがふんだんに奢られたモデルとなっている。専用パーツの詳細は追って説明するとして、まずは車両の説明からしてゆこう。

排気量900ccの270度クランク8バルブSOHCバーチカルツインエンジンは、わずか3230回転で80Nmという太いピークトルクを発生させるもので、幅広いシチュエーションで扱いやすいのが特徴だ。このボンネビルシリーズにはキャブレターを採用する時代のモデルから幾度も試乗をしてきたが、歴代モデルを振り返っても、現行型T100は非常によくできていると思っている。セルボタンひとつで軽く目覚めるエンジンは、アイドリング時から心地よいツインサウンドを奏で、指一本で操作できると言っても過言ではないほど軽いクラッチを操作すると、トトト…となんなく車体を前へと押し出してくれる。インジェクションのセッティングも思わずうなってしまうほど完成度が高く、ギクシャク感が皆無なのは当然のこと、スロットルワークに対するツキの良さ、意のままに応えてくれるレスポンスはバイクを配下に抑えている優越感に浸れるものだ。

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前後のサスペンションはたっぷりとしたストローク量が持たされている上に、緩めのダンピング設定で、どこか懐かしさを感じさせるふんわかとした優しい乗り心地をもたらしてくれる。かといって踏ん張らないわけでなく、スポーティなライディングをしても許容するのである。ビンテージバイクの「味」を現代的技術でしっかりと表現できている。モダンクラシック系モデルがもてはやされるようになって久しいが、ボンネビルT100ほど、バランスの良いモデルは他には無いと断言しよう。重箱の隅を突くと言うか、しいて気になった点を挙げるのであれば、6速目があれば、よりいっそうハイウェイクルージングが快適になるだろうという点くらいだろうか。

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実際のところ乗り味に関してはT100ボンネビルそのものと言っていいものなのだが、バド・イーキンス・スペシャル・エディションとしてのポイントについても触れておかなければならない。一目でソレだと分からせるのは、まず手作業によるラインが描かれたツートーンの専用ペイントが施されたタンクだ。そのタンクには旧タイプのロゴが施されているほか、上部にはバド・イーキンスのロゴ、さらにはアクセサリーにも設定されていないモンツァタイプタンクキャップが採用されている。

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ハンドルまわりではこれもまたアクセサリー設定の無い専用バーエンドミラーが備わっているほか、グレーカラーのグリップが使われている。その他フェンダーやサイドカバーなどにバド・イーキンスのロゴがあしらわれていたり、LEDウインカーも装備している。これら専用パーツの単体価格を合わせると約10万円にもなるのだが、ボンネビルT100のスタンダードモデル(ジェットブラック)が125万3900円なのに対し、3万9600円だけ上乗せされた129万3500円というプライスとなっている。

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スペシャルモデルの証として、トライアンフのニック・ブロアーCEOとバド・イーキンスの子どもたちによる署名が記された証明書が付属する。走らせることに最高の喜びを感じさせるモデルでありながら、コレクターズアイテムとしても価値のあるバド・イーキンス・スペシャル・エディション。破格とも言えるプライスタグは、将来を見据えた投資として考えても意味のある一台なのかもしれない。

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T100 バド・イーキンス・スペシャル・エディション 詳細写真

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排気量900cc水冷SOHCバーチカルツインエンジンを搭載。ボア84.6mm×ストローク80mmとビッグボアを活かした80Nm/3230rpmのトルクフルな味付けとなっている。最高出力の55PSは5900回転で発生する。
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KYB製φ41mmのカートリッジ式フォークは120mmという十分なトラベル量を有しており、100/90-18と細身なタイヤサイズと相まって、入力に対して素直な応答を楽しむことができる。ブレーキはシングルディスクに2ピストンキャリパーとし、必要にして十分な性能を発揮する。
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バド・イーキンス・スペシャル・エディションの特別仕様パーツとして、フロントフェンダーには専用ロゴがあしらわれている。なおT120バド・イーキンス・スペシャル・エディションでは、ホワイトカラーのフェンダーが装備される。
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バド・イーキンス専用装備として、LEDウインカーが採用されている。ヘッドライト及びヘッドライトステーなどはボンネビルT100スタンダードモデルを踏襲する。
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T100バド・イーキンス・スペシャル・エディションを印象付けるツートーンカラーのタンク。ハンドペイントによるラインが描かれているほか、旧タイプのロゴが採用されるなど、ディテールにこだわりを感じさせる。
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たっぷりとしたクッションで座り心地の良いシート。パッセンジャー側との段差が軽微なため、ソロでは自由度が高く、タンデム時も快適なものとなっている。シート高は790mmと低めに抑えられているため足つき性も良い。
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モダンクラシックモデルに似合うオーソドックスなアナログ2連メーターを採用。クローム処理されたベゼル部分と、削り出し仕上げのベースの組み合わせにプレミアム感を覚える。液晶部分はシフトインジケーターや走行距離、時計などを表示させることができる。
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ごく自然なライディングポジションとなる位置にセットされたバーハンドルには、バド・イーキンスモデル専用装備としてグレーカラーのグリップと、バーエンドミラーが採用されている。ミラーはこの限定モデルでしかつかない装備となっている。
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プリロード調整機構の備わるKYB製のツインショックは、フロントと同じくトラベル量は120mmで設定されている。左右二本出しのサイレンサーからは歯切れの良いツインサウンドが聞こえる。なおABSは標準装備となっている。
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足を自然におろした位置にセットされたステップは、あらゆるシチュエーションにおいて「楽」だが、腰を落とすようなスポーツライディングを楽しむ際にはバンク角が気になるところ。ちなみにミッションの入り具合は最高に良い。
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やや短めにカットオフされたリアフェンダーは、全体で見た際のバランスがとても良い。そのフェンダーから伸びるステーに、テールライト類、ナンバープレートが備わっている。フロントと同様にLEDウインカーはバド・イーキンス専用の仕様。
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シート下には、さほど余裕が設けられていないが、ETC本体の設置と、書類程度なら入れられるだろう。バッテリーやエアクリーナーのメンテナンス性が良いほか、USBによる電源供給が確保されている。
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燃料タンク上部に備わるモンツァタイプタンクキャップは、バド・イーキンス・スペシャル・エディションでしかつかない専用装備となっている。質感が高く、いつも目に入る部分であることもあり、ちょっとした特別感を得られる。

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