VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ ボンネビル 試乗インプレッション

トラインフ ボンネビルの画像
TRIUMPH BONNEVILE

トライアンフ ボンネビル

17インチキャストホイールと
低シート高を採用した新ボンネビル

ここのところ、海外のみならず日本国内においても、トライアンフに熱い視線が送られている。独自の3気筒エンジンを搭載したスポーツバイクの人気の高さもさることながら、その一方で往年の名車をイメージした、ノスタルジックなモデルへの注目も非常に高い。今回試乗する「ボンネビル」は、1960年代に世界を沸かせたスポーツバイクをイメージした同社の「モダンクラシック」カテゴリの最新作。クラシカルな出で立ちはそのままに足回りなどを現代的に洗練し、よりユーザーに対する間口を広げたモデルだ。伝統の中に革新を取り込んだ新しいボンネビルの実力を、さっそく確かめてみたい。

トライアンフ ボンネビル 試乗インプレッション

誰もが気軽に楽しめる
新しいクラシカルスポーツ

トライアンフ ボンネビル 写真

前後にスポークホイールを履いた先代モデルから一新、7本スポークのアルミキャストホイールを採用した新しいボンネビル。この効果のほどは、スタンドを払った瞬間から明確に乗り手へ伝わってくる。まず、取り回しが非常に軽快だ。以前のボンネビルも車体ボリュームの割りには扱いやすかったが、現モデルはそれ以上。ホイールの小径化とシート高の低下によって足着き性も格段に高められており、駐輪場での押し引きから信号待ちの停車まで、車体の取り扱いに不安を覚えることは皆無だった。前後17インチホイールを装着したことによる、走りの変化にも注目したい。前モデルはフロント19インチホイールにより、コーナーリング中に少し粘るような感覚があったが、新しいボンネビルでは乗り手の操作に対して機敏に反応し、視線を送る先へと素直に曲がってくれる。人によっては前モデルと比べてクイック過ぎると感じるかもしれないが、ここ最近の国産車を楽しんできたライダーならむしろこちらの方が分かりやすいだろう。

トライアンフ ボンネビル 写真

エンジンのテイストも心地良い。アイドリングは比較的静かだが、常用域での音は気持ち良く響くため、乗っていて思わず耳を傾けてしまった、軽くふけあがる並列2気筒エンジンは低回転から力強く、一般道から高速道路までどんなシチュエーションでも快適に楽しめる。怒涛の加速力、などといったものには無縁だが、この人間の感覚に近い加速感はハマってしまう面白さだ。軽快な足回りと扱いやすくトルクフルなエンジンの組み合わせは、市街地走行でもっとも本領を発揮する。細かい路地でも苦にならず、ストップ&ゴーの多い都内でも退屈することがない。ただ、一点気になったのはサスペンションストロークの短さ。足着きの良さを優先するためわずかにショートストローク化されており、そのせいか高速道路の継ぎ目によるショックが少し大きいように感じた。ただ、日常の速度域における不快感は無く、低いシート高や街中での取り回しを考えれば十分に許容範囲。乗りやすく扱いやすい新ボンネビルは、これからのクラシカルスポーツの新基準とも言えるだけの完成度を持っている。

トライアンフ ボンネビル 特徴

伝統と革新が共生する
美しいスタイリング

トライアンフ ボンネビル 写真

ボンネビルを語る上で外せないのは、往年の名車をほうふつさせる端正なスタイリングだ。1959年にデビューした初代ボンネビルのディテールを、現代の技術でリメイクした姿は、同クラスのバイクの中でもひときわ存在感がある。滑らかなタンクの造形や、伝統のルックスにこだわるために採用されているキャブレター風インジェクションなどによるノスタルジックな美しさは、ボンネビルならではの個性だ。スポークホイールからアルミキャストホイールに変更されたが、全体的なスタイリングへの影響は少なく、7本スポークのキャストホイールは側面が磨きこまれており、むしろ古き良き時代のスポーツバイクを思い出させてくれる。また、小さな部分だが灯火類の作りこみも丁寧だ。ウインカーは前後ともメッキステーを採用しており、テールライトもボンネビル定番の小ぶりなものを装着。メッキ仕様のヘッドライトも、英国車らしい雰囲気を醸し出している。

スムーズで滑らかなテイストを持つ360°クランクの空冷並列2気筒エンジンも存在感たっぷりだ。直立したシリンダーとそこに刻まれた美しい空冷フィンが、このバイクが名車の後継であることを如実に証明してくれる。そんな中で、ブレーキ回りは前後ともフローティングキャリパーを採用するなど、現代のバイクとしての造り込みも忘れていない。キャブレター風の外観に包まれたインジェクションは始動性も良く、早朝の始動などでぐずることもない。7本スポークのホイールに組み合わされるタイヤはスポーティなラジアルタイヤだ。ライダーの郷愁を誘う美しいスタイルに、現代の技術による安心感と高性能が同居する。これこそがボンネビル最大の特徴と言えるだろう。なお、今回の車両はヘッドカバーやタンクパッドなど一部カスタム済みの車両であることを書き添えておく。

トライアンフ ボンネビル の詳細写真

トライアンフ ボンネビルの画像
トライアンフならではの、キャブレターを模したインジェクション。クラシカルな雰囲気にマッチしている。
トライアンフ ボンネビルの画像
足着き性を重視した薄めのタックロールシート。前後に段差があるため、スポーツライディング時も体がずれにくくなっている。
トライアンフ ボンネビルの画像
速度計と各種インジケーターのみというシンプルなメーターまわり。夜間はオレンジの照明で、視認性は良好だ。
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マルチリフレクタータイプのヘッドライトを装着。夜間走行の明るさも問題無し。ハイビーム時も十分に光が広がってくれる。
トライアンフ ボンネビルの画像
軽量な17インチアルミキャストホイールを採用。19インチスポークホイールモデルに比べ足回りの軽さは歴然だ。
トライアンフ ボンネビルの画像
マフラーは先代のキャブトンタイプから、スタイリッシュなメガホン形状マフラーへ変更した。音量は控え目だが音質は印象的。
トライアンフ ボンネビルの画像
リアサスペンションのストロークは100mmとなっており、以前のボンネビルより6mm短くなっている。
トライアンフ ボンネビルの画像
テールライトとウインカーはメッキのステーでまとめられフェンダーに取り付けられている。柔らかな曲線が美しい。
トライアンフ ボンネビルの画像
シート高は751mmと国産400ccネイキッド並みの低さだ。身長163cmのモデルでも足がしっかりと着いている。

SPECIFICATIONS – TRIUMPH BONNEVILE

トライアンフ ボンネビル 写真

価格(消費税込み) = 112万3,500円

トラディショナルなスポークホイールから、前後17インチのキャストホイールへと装いを変えた新しいボンネビル。前モデルに比べシート高が24mm下がり、足着き性も向上した。

  • ■エンジン型式 = 空冷4ストロークDOHC並列2気筒360°クランク
  • ■総排気量 = 865cc
  • ■ボア×ストローク = 90.0×68.0mm
  • ■最高出力 = 50kW[68PS]/7,500rpm
  • ■最大トルク = 69N・m /5,800rpm
  • ■トランスミッション = 5速式リターン
  • ■サイズ = 全長2,144×全幅748×全高1,100mm
  • ■シート高 = 751mm
  • ■ホイールベース = 1,454mm
  • ■乾燥重量 = 200kg
  • ■タンク容量 = 16.0L
  • ■Fタイヤサイズ = 110/70R 17
  • ■Rタイヤサイズ = 130/80R 17

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