VIRGIN TRIUMPH | T140ボンネでスタートしたトラ最速レーサーへの道 vol.08 小沢 和之さんのコラム

T140ボンネでスタートしたトラ最速レーサーへの道 vol.08

  • 掲載日/2015年05月08日
  • 写真・文/小沢 和之(ライター)

子供の頃はバイクよりもクルマに興味津々、はやく18歳になって4輪の免許が取りたいな?と思っていたオザワ少年。お小遣いをもらえばミニカーとプラモデルを物色。あれれ? 今回もレースの話じゃない…。まぁ?いいじゃないですか! 先はとっても長いんだから…。という事で、本格的レース参戦のお話はもう少し先に延ばして、今回はプラモデルからの、バイク自家塗装・カスタムペイントについてです。

小沢和之さんのコラム画像

バイクを購入したら、嬉しくて日々眺め乗り回すものですが、街中で時々すれ違う自分のバイクと姿カタチが同じあの人のあのバイク。同じで結構、このバイクに乗りたくて買ったんだから、他人と同じでもいいんです! けど、自分なりの個性をバイクに求めると、キーホルダーから始まりミラーにウインカー、ハンドルにマフラーと、ついついカスタムがエスカレートしてしまうのがライダーの性(そんなことないですか?)。そして個性、自己主張を目一杯表現出来るのが、カスタムペイントではないでしょうか? フルカウルのレーサーレプリカだと大変だけど、ネイキッドモデルならタンクやサイドカバーにワンポイントを入れるだけでも、人と違ったマイバイクを表現出来ちゃう。

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プラモデルを作る時って(最近作ってないけど)、本気モードだと細部にまでこだわってキレイにペイントしますよね? ワタシは子供の頃から相当マジに取り組んでいたので、勉強机の一番下の引き出しにはタミヤのプラカラーを何色も忍ばせていました。月に一度のお小遣の日ともなればその引き出しが開きっぱなし。勉強道具を隅っこに追いやり、普段見せない集中力を発揮して、せっせとプラモデル作りに勤しんでいたのです。

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設計図に指定されたカラーナンバーを見ては引き出しに目をやり、同じものを探し出し、丁寧にペイント作業を進めていました。小学生時代は大きな部品もほぼ筆で塗っていましたが、中学になるとクルマのボディなど表面積の大きいものはスプレー缶で、まさにペイント作業をしていたわけです。いくつも作っては爆竹で破壊を繰り返し、作るのも上手けりゃ壊すのも上手くなる有様(笑)。そんな少年期を過ごしていたので、バイクのタンクなんてプラモデルが少し大きくなっただけだから、躊躇なく剥離とペイントを行っていました(破壊は無しよ)。

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初めに塗ったのはファーストバイクのTL50。タンクは鉄なので上手く塗れましたが、前後フェンダーには苦労しました。プラモデルと同じようなプラスチック製ではありますが、走行中の振動でせっかく塗装した表面にヒビが入り、どんどん剥がれてしまいます(涙)。その都度スプレーで補修しましたが、だんだん面倒になり、剥がれたまんま、なんだかみすぼらしい前後フェンダーになってしまった事を今でも覚えています。けどそんな経験は後のペイント作業に大変役に立ち、同じ失敗は繰り返さない、どうすれば上手く塗れるのかを考えるいいきっかけになりました。そう、振動部分は塗らないって事ですよ(笑)。

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タンクを塗れば、次はヘルメットですね。こちらは全て曲面なのでマスキングも難しい。今じゃプロにお願いしていますが、当時は失敗の繰り返しでした。ただその分、上手く仕上がった時の喜びはひとしお、タンクとお揃いのカラーリングで満足できるものもたくさんやり遂げました。

あの頃はまだレースをやっていなかったけど、レースを始めてからは、やはり目立つのも勝負のウチと、メーカーオリジナル塗装のままだったタンクも自家製ペイントを施しました。おっ、やっとこさレースの話になるんですかね?? いえいえ、まだ具体的なレースの話はいたしません(笑)。今回はペイント話で我慢して下さいね。

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自家製ペイントの主役は、何と言ってもスプレー缶です。これをいかにきれいに発色させるかが肝なわけです。しかしその前に、自家製とは言え下地作りやマスキング、磨ぎの作業などやることはたくさんあります。場合によっては剥離もするわけですから、1日や2日で終わるものではないのです。さらに軒下ペインターは天候に左右され、納期の約束も出来ないのが辛いところ。友人のタンクなんかも塗っていましたから、立派な職人だったんです。マイトライアンフのタンクはオリジナルを残し、そこから型取りしてFRPで作ってもらったものを自家ペイントしました。もちろんヘルメットもお揃いで。今でもそのヘルメットとタンク(FRP)は、オリジナル(スチール)のタンクと一緒に保管してあります。

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プラモデル感覚で始めたタンク&ヘルメットのペイントも、今じゃ餅は餅屋で専門家にお願いしていますが、自分で塗るのも楽しいですよ。住宅事情やニオイの関係でなかなか難しいものがあると思いますが、一度は経験してみて下さい。自分で塗ったタンクを眺めながらのライディングもいいものです。しっかり乾いてはいても、塗装面がさほど強くないので扱いにも気を遣うし、何よりガソリンの入れ方が優しくなります。

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もともとトライアンフは個性のあるバイク、それをタンクペントでよりいっそうのアピールしてみるのも楽しいものです。そう言えば以前、ポール・スミス氏とのコラボバージョンなんてのもありましたよね。自分オリジナルではないけれど、アピール度は相当なもの。スタンダードもいいけど、ちょっと人とは違ったもの選び(もの作り)もバイクを楽しむ上での選択肢だと思います。乗って楽しく眺めて嬉しい、そんなバイクを是非手に入れて下さいね。あれ、なんかキレイにまとまり過ぎちゃったかな(笑)。

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