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デザインでバイク乗りを刺激する―ロアーズ・オリジナルのプロダクツ
掲載日/2018年3月30日
取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン  Photo / Yusuke Kashiwazaki

ロアーズ・オリジナル

都会的で洗練されたアパレルを発信しつづける東京のロアーズ・オリジナル。デザインと機能を両立させながら、そこに遊び心も加わったプロダクツは感度の高いライダーたちから熱狂的な支持を集めている。

2002年にスタートしたアパレルブランド、ロアーズ・オリジナル(Roars Original)。

当時はTシャツやパーカーなどアパレルラインを展開しつつ、カスタムバイクを製作してホットロッド・カスタムショーに出展するなど、カスタムビルダーとアパレルブランドの二本立てというスタイルでショップを展開していた。

しかしブランドを立ち上げて2、3年後に転機が訪れる。

「当時は既製品をベースに服を作っていたんですが、次第に自分たちが本当に欲しい服、納得できる服を作りたい、と考え始めるようになったんです」

そう語るのはロアーズ・オリジナル代表の高橋さんだ。

「本当に作りたい服を作る。そのためには専門的な知識が必要です。洋服の世界は知れば知るほど深い。元々バイクショップでメカニックをやっていたこともあって、洋服の勉強を本格的にしたことはなくて。だったら勉強してやろうと思って、夜間の服飾専門学校に通い始めました」

ショップはアパレルに絞った。昼間はショップでの仕事をしながら、夜は専門学校へ。こうした生活を3年ほど続けて、高橋さんはデザイン、パターン、縫製、服作りにまつわるすべてを学んだ。それまでは独学だった服作りに専門知識という裏付けが加わったことで、ロアーズ・オリジナルのアパレルはより独創的で、機能的なものへと変化していく。

インスピレーションの源

「やっぱり新しいものをお見せしたいという思いは常にありますね」

愚問とは思いつつも「どんなコンセプトで服を作っているのか」と尋ねると、高橋さんはそう答えてくれた。

「新しいもの、と言っても奇をてらったような、突拍子もないものという意味ではなくて。たとえば、定番ベースでも違う視点を盛り込めば、新しいデザインや付加価値が生まれます。バイクをカスタムするのと同じように、洋服もカスタムできたら面白いじゃん、とか。そうして生まれたのが、袖の取り外しが楽しめる革ソデだったり」

革ソデとは、肩口にファスナーを備えた革製のソデ単品のことで、様々なカラー・タイプを揃えている。対応するジャケットやベストなら、付け替えてカスタムできるのだ。「パーツを交換してカスタムを楽しむ」という、バイク乗りの発想をアパレルに落とし込んだ、ロアーズを象徴するプロダクツのひとつだ。

「HEAVY NYLON VEST(4万2,000円)」に「革ソデ2 キルティング(税別3万8,000円)」を合わせたセットアップ。

長らく人気アイテムとなっているレザー・グローブ。指から甲にかけてシャーリングを施したインパクト抜群のアイテム。(1万8,000円)

PADDED RIDERS JACKET(税別13万9,000円)。肩、肘にウレタン入りのパッドを備えた牛革のライダース。シボをあえて強調したレザーを使用する。

パンツ、ジャケット、レザー・ライダース、グローブ、そして最近ではブーツまで。展開するプロダクツは幅広い。古くからある定番デザインを踏襲しているように見えて、実は部分的に新しいデザインを盛り込んだりするものもある。かと思えば、はなから今までにないシルエットを作り上げたものも。そのどちらにも必ずどこかに遊び心がある。これがブランドの真骨頂だ。

一般的なバイクアパレルだと「このウエアならこんなバイク」と、服とバイクが直接的に結びつくケースが多い。ところが、ロアーズ・オリジナルのアパレルは、服のデザインがバイクを選ばない。実際、同店を訪れるライダーたちのバイクも見事なまでに車種はバラバラだ。スーパースポーツもいれば旧車、オフ車もいる。服をデザインするとき、特定の車種・カテゴリはあまり想像しないという高橋さん。そんなこともあってか、そこから生まれるデザインはボーダーレス。

今回、撮影のためにトライアンフ・スクランブラーをお借りして高橋さんに乗ってもらった。PADDED RIDERS JACKETに組み合わせたのは、オフテイストのヘルメット。こんなミクスチャースタイルを楽しめるのがROARSのアパレルなのだ。

奥のパンツはAndroidと名付けられたアイテム(税別2万8000円)。チャップスに着想を得たというパンツは、左右の腰・腿周りに取り外し可能なパーツを持つ。機能的なポケットも充実している。

スタッフによる手作業で数多くのアイテムを生み出すのもこだわり。服作りへのこだわりは、アートワークに凝ったウェブページでも存分に表現されている。

近年は海外からも注目されている。特に人気なのはヨーロッパで、フランスやイタリアのバイクカルチャー誌にアイテムが掲載されることも多い。また、フランスでは年に一度展示会を行うなど、活躍の場は世界へ広がっている。

また、近年はMotor!!Motor!!と銘打ったイベントも展開。二輪メーカーのデザイナーを招いたトークショーや、カフェを貸し切ってミーティングを開催するなど、バイク乗りを楽しませる工夫を続けている。

「当たり前ですけど、やっぱりバイクって楽しいじゃないですか。だからイベントをやることで、バイクの世界に少しでも新しい波を起こせたらいいなと思っています」

斬新なアイデアでバイクウエアの世界に新風を吹き込むだけでなく、イベントを主催して新しいカルチャーも生み出していく。ここから生みだされるモノ・コトは常にクリエイティブ。そんな刺激を求めて、ロアーズ・オリジナルには今日もライダーたちが集まっている。

BRAND INFORMATION

ロアーズ
住所/東京都港区西麻布1-15-14 1F
TEL/03-6434-0961
新しいコンセプトのアパレルを東京から発信しつづけるROARS ORIGINAL。機能的でありつつ、洗練されたプロダクツには熱狂的なファンも多い。近年はそのデザイン性の高さと斬新なコンセプトが海外からも評価されている。