VIRGIN TRIUMPH | タイガーエクスプローラーXCx 長期インプレ vol.02【サーキット走行チェック編】 トピックス

タイガーエクスプローラーXCx 長期インプレ vol.02【サーキット走行チェック編】

3気筒シャフト駆動型ビッグオフという
独創的な新型タイガーエクスプローラー

タイガーエクスプローラーXCxの画像

新型タイガーエクスプローラーXCx試乗レポートの第2弾では、いよいよ高速道路を使ってワインディングへ。パワフルかつ、3気筒ならではの高回転の伸びと荒々しいサウンドを存分にチェックという予定だったが、富士スピードウエイで走るチャンスができたので、まずはサーキットでのインプレから。と言いつつも残念ながら土砂降りの雨で前方視界が悪いため最高速度は180km/hまで、10周に満たない周回だったが、そこでも感心することが多々あった。

まずは電動スクリーンのありがたさ。もっとも低いローと、もっとも高いハイの2箇所のみチェックしたが、ハイの状態で優れた雨避け効果と高い防風性が確認できた。ヘルメットに当たる風と雨の強さがまるっきり異なる。これならスクリーンのサイズがひと回り大きい「ツーリングスクリーン」をセットするトップグレードのXCAではさらに期待できる。オプション設定なので他のグレードでも取り換え可能だ。

タイガーエクスプローラーXCxの画像

スクリーンを高くするとハンドリングは穏やか。低くするとシャープになる点が興味深い。これだけの重量級ビッグオフでもペースを上げるほどわかるのは、もともとカチッとしつつシャープなバンキングを得意とするタイガーならではのもの。晴天・曇天でのテストでは高温多湿、蒸し暑い環境の場合、スクリーンをロー位置にすれば首回りがとても気持ちよかった。朝・昼・夜など走る時間や速度や目的によってスクリーンの高さを電動で瞬時に変更できる新型タイガーエクスプローラーは、数あるビッグオフで唯一の存在。電動スクリーンは侮れない重要装備のひとつだと実感した。

新型は高い運動性をそのままに電子制御サス導入によりさらに上質な乗り心地と骨太な接地感を得ている。バンク中のフル加速、バンク中のハードブレーキ、クイックなバンキングなど土砂降りでも、直線の全開以外はいつも通りのサーキット走行としてみたが、まったく不安にならなかったのは慣性測定ユニット、IMUのお陰だ。ハイテクに依存する走り方は考えものだが、集中力が低下した時のワンミスを防いでくれる安心感はまさに絶大。

タイガーエクスプローラーXCxの画像

ちなみにレイン、オフロード、スポーツの3モードはスポーツを設定。トライアンフセミアクティブサスはもっともソフトの設定でも不安をまったく感じることがなかった。単純にソフトが柔らかいだけではなく、ハイスピードでの車体の振れを一瞬で抑えるという意味でアナログ式では不可能な世界を誰にもわかりやすく味合わせてくれる。

美点としてどうしても加えたいのがブレーキ。土砂降りの雨でも入力からの効きはじめ、そして握り込んだ時のブレンボ製キャリパーが生み出すリニアな制動力および強力な効きはさすがというほかない。ABSが発生しても車体の前後方向のフレもなく、平常心のままコーナリングに入って行ける。まさにスポーツバイクと同じ楽しさ。ビッグオフだからサーキットは我慢、というハンデはない。

タイガーエクスプローラーXCxの画像

晴天時のワインディングテスト以外に曇天のワインディングもテストをした。路面はウェット路面だったが、改めて新型タイガーEXPのパワーデリバリーのスムーズさ、シフトアップ&ダウンのつながりやすさ、フルブレーキングしながらの自在なコーナリングなどなど、 ちょっと荒れた路面での前後サスの追従性も含めて確実にブラッシュアップしてきたことを痛感した。特にタンデムだから、あるいは荷物満載などというモードの選択はなく、すべてをインクルードした先進的な電子制御サスになっている。

XC系はチューブレスタイヤ装備のスポークホイール仕様だが、重量的にはキャストホイールのXR系よりもやや重いのだが、乗り心地の良さは明らかにXC系。磨く手間を考えればXR系。それぞれに美点があるため悩ましい。あとは好みか。

タイガーエクスプローラーXCxの画像

市街地でのゴーストップでとても軽く操作ができるパワーアシストクラッチは、ワインディングで俊敏なシフトワークと連動させるクラッチワークの相棒としても素晴らしく機能してくれた。従来のクラッチでは時間が経過するほどに手の負担が大きくなり、ラフなクラッチ操作になりかねないのだが、新型はまるで250cc級のバイクを扱うようなクラッチの軽さで,より繊細なクラッチミートが可能。これが安全で楽しい走りに欠かせない重要なポイント。

新型タイガーEXPは、ビッグオフというジャンルよりもまず、何よりもバイクとしての走る・曲がる・止まる、という実に地味で、実に重要な「操る基本力」が充実した。まさにハイテク満載だが、ハイテクを微塵も感じさせない非常にナチュラルな作り込みは英国のモーターサイクル文化を深く受け継ぐトライアンフの底力ではないかと思えてならない。主役はあくまでライダーであると。

タイガーエクスプローラーXCxの画像

次回はワインディング編&総論。最終回をお送りします。

12

バイク買取&乗り換えガイド