VIRGIN TRIUMPH | スピードトリプルR 長期インプレ vol.03【ワインディング走行チェック編】 トピックス

スピードトリプルR 長期インプレ vol.03【ワインディング走行チェック編】

ワインディングで真価を発揮する走りの「R」

スピードトリプルRの画像

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さて、いよいよスピードトリプルRをワインディングに駆り出してみた。エンジンに大幅な改良を加え、オーリンズ製前後サスペンションを装備し、新たに電子デバイスを搭載した最新モデル。そう聞くだけで、また磨き抜かれた筋肉質のプロポーションを見ているだけで、走りの予感はヒシヒシと伝わってくる。

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それには理由がある。先代モデルの存在だ。先代のスピードトリプルRがデビューしたときもいち早く試乗してみたが、当時先にフルモデルチェンジしていた「ストリートトリプル」の新しい設計思想を受け継ぎ、さらに熟成された車体構造とディメンションを持つ先代「R」は抜群の走りの良さを見せつけてくれた。分厚いミッドレンジのトルクを生かしたガッツのあるエンジンを軽量コンパクトな車体に収めた先代「R」の俊敏でマッシブな走りにすっかり魅了されたことを覚えている。目の前にあるのは、その新型モデルである。

前回の街乗りでもヒラヒラ感は十分に感じられたが、峠道に入ると車体の軽さはさらに引き立ってくる。燃費向上のおかげで燃料タンク容量が2リッター分減ったこと、「R」はカーボンパーツの採用でバネ下重量を低減していること、そして試乗車には純正オプションのARROW製サイレンサー(STDより1.5kg減)が装備されていたことも効いている。一瞬、675ccエンジンのストリートトリプル? と錯覚したぐらいだ。

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加えて、エンジンも先代より進化し、5psパワーが上乗せされている。車体の切れ味を演出する要素として大きく影響するのは車重とトルクだ。特に常用域でのトルクが厚く、ピックアップがいいと車体が機敏に動いてくれるのでハンドリングも俊敏になる。新型では3気筒独特の豊かな中間トルクはそのままに、そのデリバリーが「ライド・バイ・ワイヤ」によって細やかに調整されているため、スロットルを開けていったときの車体の姿勢変化が安定している。先代のドーンと背中をど突かれるようなワイルドな加速感もそれはそれで好きだったが、新型はよりパワフルであるにも関わらずジェントルで扱いやすく、結果的に心穏やかにスポーティな走りが楽しめる。

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オーリンズ製の前後サスペンションはしなやかな動きの中にもコシがあって、新型「R」の強力なトルクをしっかり受け止めてくれる。路面のギャップやウネリに対しても、無駄な動きがないので常に姿勢が安定していて、なおかつ車体重心を高い位置にキープしてくれるので倒し込みのキッカケを作りやすい。ひと口に言うと、走りがシャキッとしているのだ。ディアブロ・スーパーコルサSPの強力なグリップ性能とも相まって、その気になれば相当なレベルの走りができるはずだ。その辺りのフィーリングはネイキッドというよりも、むしろスーパースポーツに近い。

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ブレーキも同じで、「R」に装備されたブレンボ製のレーシングタイプはかっちりした精度の高さが伝わってくるタッチ感で、レバーを握り込んでいったときのストローク量も豊富なため、コーナー進入での減速コントロールが抜群にしやすい。もちろん制動力も強力で、操作は指一本で十分なぐらいだ。

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気軽に走りの雰囲気を変えられるライディングモードが楽しい

新型「R」の走りの楽しさを、より引き立ててくれるのが「ライディングモード」だ。新たに導入された「ライド・バイ・ワイヤ」によって実現した走行モードの切り替え機能である。「レイン」、「ロード」、「スポーツ」、「トラック(サーキット)」、および乗り手が任意に設定できる「ライダー」モードを加えた5つのモードで構成されるが、実際によく使うのはプリセットされた4モードだろう。

前回の街乗りでは、出力特性が最も穏やかでトラクションコントロールとABSの介入が早い「レイン」が扱いやすいと紹介した。では、ワインディングではどうか。もちろん「レイン」でも走れるが、やはり「R」ならではのピリッとした走りを求めるなら「ロード」以上がおすすめだ。

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自分の感覚としては、ツーリング気分であれば最も自然な感覚で走れる「ロード」がいい。下り坂で強くブレーキをかけ過ぎたり、コーナー立ち上がりでスロットルを開けすぎたりすると、ABSやトラクションコントロールが最適なタイミングで作動してくれるので安心だ。これが「スポーツ」になると、エンジンレスポンスがより鋭く、トルクの盛り上がり方も強烈になる。まさにスポーツライディング向きのキャラクターになるわけだ。

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試しに「トラック」も選択してみたが、レスポンスはさらに鋭くなりパワーカーブも急峻になる感じ。ABSの介入タイミングは限界近くで強くかけ過ぎるとリアが浮いてしまうほど。トラクションコントロールの介入も最小限になり、スロットルを開けすぎるとフロントが浮いてくる、という具合。ストリートで走るにはちょっと過激すぎる感じかも。そもそも「トラック」モードはサーキット用のセッティングなので、使う場所が違うということ。できればサーキットで思い切り試したいところだ。

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ライディングモードは走行中でも左手元のボタンひとつで切り替えられるため、気軽に試すことができる。エンジンのキャラクターの違いやABS、トラクションコントロールの仕組みと効果をより身近に体験できるという楽しさもある。もちろん、天候や路面状況によって本来の機能と安全性も発揮してくれるはずだ。もしオーナーになったら、ぜひ積極的に使ってみてほしい。

高速道路でもグレードの高さと安心感を堪能

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高速道路でも軽さを生かしたスピード感が印象的だった。同じトライアンフ3気筒でもタイガーエクスプローラーやトロフィーのような重厚な加速感とはひと味違う、俊敏な機動性が光る。レーンチェンジや追い越しでもリッタースポーツとは思えない軽快なフットワークが楽しめるはずだ。

オーリンズのしっとりとした“猫足”による乗り心地の良さ、路面を舐めるようなロードホールディングの安心感も「R」ならでは。高いだけのことはある、と言ってしまえば下世話だが、事実このグレード感はやはり気持ちいい。

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もちろん、カウルを持たないネイキッドなので走行風はもろに受けるが、それでも小さなフライスクリーンのおかげで上体に当たる風圧はいくらか軽減できているようだ。余裕のパワーがあって電制とABS、トラクションコントロールで守られていることもあり、連続走行しても思いのほか疲労感も少ない。短距離弾丸ツーリングであれば快適にこなせるだろう。

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また、純粋に走りを楽しむモデルではあるが、ツーリング性能を高めるためのバッグ類やスクリーンバイザーなどの純正オプションパーツも充実しているので、自分の好みや目的に応じてカスタムするのもいいだろう。トライアンフの歴史に裏打ちされた、最新の性能とスタイルを纏った新型スピードトリプルR。間違いなくシリーズ最高傑作だ。

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試乗ライダー プロフィール
佐川 健太郎
モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践テクニックからサーキット走行まで造詣が深く、白バイ関連の記事や映像も数多く手掛けるなど白バイテクについても精通。本サイトでもライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。
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