VIRGIN TRIUMPH | スピードトリプルR 長期インプレ vol.01【スタイリング&ディテール・取り回しチェック編】 トピックス

スピードトリプルR 長期インプレ vol.01【スタイリング&ディテール・取り回しチェック編】

最新の「電制」を入れてすべてをアップグレード

スピードトリプルRの画像

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トライアンフを代表するスポーツネイキッドモデル、「スピードトリプル」がこの春フルモデルチェンジして登場した。

初期型は1994年に誕生。当時ヨーロッパを中心に流行し始めた“ストリートファイター”をイメージした新たなシリーズとして世界中で人気を博すなど、近代におけるトライアンフの繁栄を築いた基幹モデルと言える。

ストリートファイターとは元々、フルカウルのスポーツモデルをベースに、ストリートでの使い勝手を優先してカウルを剥ぎ取り、アップハンドルなどを装着したカスタムの一種である。SS譲りの優れたパフォーマンスと機敏な運動性能を生かして、エクストリーム競技などでも主流のスタイルとなっている。

スピードトリプルも当初は好みが分かれる武骨なデザインだったが、世代を重ねて洗練され、特徴的な2灯ヘッドライトを搭載したスタイルは独自のアイデンティティを確立。ハリウッド映画「ミッション・インポッシブル」シリーズでも、主演のトム・クルーズがド派手なバイクアクションを演じて見せるなど話題を呼んだ。

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ともあれ、スピードトリプルはストリートでの最高にエキサイティングな走りを楽しむために開発されたモデルであり、狙い通りの進化を遂げた最新型でもそのコンセプトにブレはない。

熟成を重ねた 水冷並列3気筒1,050ccエンジンは、中速域での豊かなトルクとトップエンドの伸び切るパワーフィールが魅力で、104箇所もの改良が加えられ最高出力は先代から5psアップの140sp/9,500rpmを実現。最大トルクの向上はもちろん、全域でトルクカーブを引き上げることに成功している。また、最新の排ガス規制「ユーロ4」に適合しつつ、燃料効率も最大10%の向上を果たすなど環境性能の向上も抜かりない。

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今回のフルモデルチェンジの要点として、エンジン・マネジメントにシリーズ初となるライド・バイ・ワイヤ方式を採用していることが挙げられる。「トラクションコントロール」と「ライディングモード」を搭載し、これにより安全かつ快適に最新のパフォーマンスを存分に引き出すことができるようになった。

ライディングモードは新型ECUとの連動により、「レイン」、「ロード」、「スポーツ」、「トラック(サーキット)」に加え、乗り手が任意に設定できる「ライダー」モードを加えた5つのモードで構成される。各モードで出力特性やスロットルレスポンス、トラクションコントロールやABSの介入度をフレキシブルに変化させることができるため、ライダーのスキルや路面状況、走行環境に応じて最適なライディングを楽しめることが魅力である。

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特に上級バージョンの「R」では、ビレットフィニッシュが施された最高級グレードの 43 mm オーリンズ製NIX30 フルアジャスタブル倒立フォークと同じくTTX36ツインチューブ・フルアジャスタブル・リアモノショック、さらにレース仕様のブレンボ製モノブロックラジアルキャリパーなどの充実した足まわりを装備。

加えて、カーボン製のタンクインサートパネルやフロントフェンダーなどの軽量外装パーツ、そしてレッドカラーに彩られたサイドカウルやサブフレーム、スポーティなアンダーカウルなどを標準装備するなど、「R」に相応しい走りのスペックと見た目のクオリティをアドオンしていることもポイントだ。

先代イメージを踏襲しつつディテールは別モノに

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フルチェンジしたスピードトリプルだが、一見すると従来モデルと大きく変わった感じはしない。コンパクトになった先代より車体はさらにスリムになり、全体的なシルエットがややシャープになった感じだ。正直なところ、「これが新型か!」といったインパクトはないのだ。

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ただ、先代の写真を取り出して、しげしげと見比べてみると、不思議なことにディテールにはほとんど同じパーツがないことが分かる。バックミラーはハンドルバーエンドに移動しているのですぐに分かるが、タンクやシートの造形やエンジンカバーの形、ヘッドライトやホイールなどの大物パーツもことごとく異なっている。これだけ違っているのに、全体的なまとまりとしてのイメージは完全に先代モデルを踏襲している。

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ここまできて、やっと理解した。これは意図的にそうデザインされたものだと。“変わらない良さ”というものもある。ことトライアンフは伝統へのこだわりが強く、売らんがための小細工はしない職人気質のメーカーなので、今回の意図も理解できる。「分かるに人は分かる」「中身で勝負だ」などと考えているに違いない。きっとそうだ。

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よりコンパクトに軽くなり足着きも良好

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じっくり熟成されて各部のグレード感がさらに高まった印象の新型に跨ってみた。シート高は825mmということで、ネイキッドとしてはやや高め。スーパースポーツに近い感覚だが、シート前方が絞り込まれているため足着きは悪くない。179cmの自分の場合、両足をしっかり着いてもヒザが曲がる程度である。

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ちなみにライディングポジションだが、ハンドル幅がやや広めで横に開いている感じは従来どおりだが、それでもハンドル位置が少し低く手前に近くなった気がする。よりコンパクトなライディングポジションになった感じだ。ステップ位置も高すぎず低すぎず、スポーツするには丁度いい設定だ。

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また、純正オプションとして「ローライダーシート」も選べるが、こちらは20mm低くなるのでさらに足着きは良くなる。今までの経験上、足着き性こそ有利だがハンドリング的にはデメリットが出てくるローシートもあったが、スピードトリプルの場合はそのようなネガはなかった。おそらく20mm程度の差なので、大きく重心バランスやライディングポジションが崩れることがないからだろう。

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バイクを降りて取り回してみたが、サイドスタンドを外すために車体を起した瞬間から軽さを実感。乾燥重量192kgというスペックも1,000ccを超えるマシンとしては非常に軽いのだが、それだけではない。押してみるとフリクションが少ない感じで、軽い力でスーッと動かせる。この感覚はとても大事で、たとえば整備不良の車両などは動き出すのに力がいるので、それだけで乗りたくなくなる。その点で、新型スピードトリプルは最初のつかみは完璧だった。

次回は「街乗り編」で日常的な使い勝手などを紹介したいと思う。

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スピードトリプルRのディテールをチェック

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シリーズ歴代最強の140psを発揮する水冷並列3気筒DOHC4バルブ1,050ccエンジン。今回、新たに104箇所が改良され、燃焼室、シリンダーヘッド、クランク、ピストン形状に加え、「ライド・バイ・ワイヤ」によるスロットルボディやスリップ・アシストクラッチ、エアボックス、エキゾーストパイプなども新設計となった。
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フロントブレーキはレース仕様のφ320mmフローティングディスク&ブレンボ製ラジアルモノブロックキャリパーの組み合わせ。切り替え式バリアブルABSを標準装備するなど安全性も高められている。「R」のフロントフォークはオーリンズ製φ43mmNIX30 フルアジャスタブル倒立タイプを採用。
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チタニウムカラーで統一されたアルミダイキャスト製フレームと片持ち式スイングアームが特徴。リアブレーキはホイールの内側にハブごと収まる構造になっている。整備性に優れ、タイヤ交換もしやすいなどメリットは大きい。
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10本スポークタイプの軽量アルミ鋳造ホイールを採用。先代モデルとは大きくデザインが異なる部分だ。OEタイヤには強力なドライグリップを発揮するスーパースポーツ用のピレリ・ディアブロ・スーパーコルサSPを装備する。ちなみにリムのレッドストライプは「R」専用。
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先代に比べて低くスリムなシルエットを持つ燃料タンク。エルゴノミクスを考慮したスタイリッシュなデザインで、乗車時のホールド感も良好だ。スチール製なのでマグネット式タンクバッグも装着できる。コンパクトになった分、容量は先代の17.5リットルから15.5リットルへと縮小された。
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高級感漂うアルミ製バーエンドミラーを採用。固定はフレキシブルで強く回せばぐるりと角度を自由に変えられる。振動によるブレも少なく後方視界はすこぶる良い。気になるのは渋滞すり抜けのときぐらいか。
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サスペンションは「S」がSHOWA製であるのに対し「R」では前後オーリンズ製の最新型を採用する。リアサスはTTX36ツインチューブ・フルアジャスタブル・リアモノショックで、ダンピング調整は伸び側、圧側ともに上部にあるダイヤルを使い手動で行えるタイプ。現場での素早いセッティングが可能だ。
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「R」専用の軽量カーボンファイバー製フロントマッドガードおよびフューエルタンクインフィンパネルを装備。バネ下重量の軽量化によるハンドリングの向上とともに、ハイパフォーマンスをアピールする外観上のワンポイントにもなっている。
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サイドビューを際立たせるサイドカウルには、「R」専用をアピールするレッドカラーがあしらわれている。また、一体化されたターンシグナルインジケーターは非常にコンパクトかつ洗練されたデザインを持つLEDタイプを採用。ステーはフレキシブルなラバータイプで衝撃にも強い。
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「R」にはタンクやシートカウルと同色で仕上げられた樹脂製のベリーパン(アンダーカウル)を標準装備。エキパイ接合部のカバーと一体化したデザインは専用設計ならでは。アグレッシブな外観と若干の空力にも貢献する。
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ライダーとパッセンジャー双方の快適性を追求した前後2ピース構造のシートを採用(先代モデルは1ピース構造)。足着き性を考慮してライダーシート前方は絞り込まれ、後方は逆にワイドにしてホールド性を高めている。「R」専用としてレッドステッチが施されているのが特徴で、よく見ると分かるという控えめなアピールが逆にお洒落。ピリオンシート前方に刻印されたブランドロゴも効いている。
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歴代スピードトリプルのアイデンティティでもあるツインヘッドライトは健在。新型では従来の5角形をあらため、角のとれた逆三角形を採用。レンズ表面内側部分にはLEDタイプのポジションランプも新設されている。インテーク用スクープ一体型のフライスクリーンを標準装備。
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アグレッシブさを印象づけるスピードトリプルシリーズではお馴染みの後方2本出しアップタイプマフラーを採用。エキゾーストシステム全体の見直しにより、軽量化とともに70%流用を増やし効率化と出力アップを実現している。試乗車には純正オプションのARROW製サイレンサーを装備。テールランプは高級感のあるLEDタイプ。
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メインキーで簡単に脱着できるピリオンシートを外すと、鮮やかなレッドカラーのサブフレームが目に飛び込んでくる。小物が収納できる僅かなスペースの奥には純正工具が収められている。ライダーシートは後端部にあるボルト2本を外せば取り外し可能だ。
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視認性の高いアナログ式タコメーターとデジタル液晶表示の多機能メーターの組み合わせがモダンな雰囲気を醸し出すコックピット。イグニッションONとともにブラックパネルに煌めくイルミネーション、そしてシフトタイミングインジケーターが美しい。液晶スペースには速度や距離、ギアポジション、燃料残量、ライディングモード、その他情報を表示。モード切り替えは左側スイッチボックスに装備されたボタンで走行中でも簡単に操作できる。
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スタンダードシートと純正オプションのローライダーシート。シート高は825mmに対して805mmと20mmほど低くなるが、実際に跨った感じはそれほど劇的な違いはない。ローライダーシートもクッション性は悪くなく1日ツーリングしても快適なレベル。ライディングポジション変更によるハンドリングへの悪影響も認められなかった。

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試乗ライダー プロフィール
佐川 健太郎
モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践テクニックからサーキット走行まで造詣が深く、白バイ関連の記事や映像も数多く手掛けるなど白バイテクについても精通。本サイトでもライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。
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