VIRGIN TRIUMPH | ヒンクレー本社工場を生取材 トライアンフのモノ創りとは トピックス

ヒンクレー本社工場を生取材 トライアンフのモノ創りとは

トライアンフ本社工場の画像
イングランド中部のヒンクレーにあるトライアンフ本社工場では、おもに3気筒エンジンのハイパフォーマンスモデルを生産。マーケティングやデザイン部門などの本社機能を兼ねている。

クラフトマンシップを誇りに
『カンバン方式』を取り入れたモノ創り

2015年10月末に新型ボンネビルの発表会がロンドンで開催され、これに伴って特別にヒンクレーにある本社工場を見学する機会を得た。ヒンクレーはロンドンからクルマで1時間半ほどの小さな町。工業地帯をイメージしていたが、のどかな田園風景が広がり、大きな箱のようなトライアンフの社屋は忽然と現れた。正面玄関を入ると広々とした受付があり、トライアンフの歴史が描かれた壁面やオブジェなどによる気持ちの良い空間が広がる。

ここはファクトリー2という施設。世界中から集められたパーツをアッセンブリーするメイン工場だ。マーケティング部門やデザイン部門も含む中枢部で、約1,000名が働いている。少し離れた場所にファクトリー1があるが、そこは塗装やアクセサリー、クロージング、アフターサービスなどを担当しているそうだ。

トライアンフはここ数年、世界的に販売台数が伸びてきていることもあり、特にアジア向けの需要に応えるためにインド工場やタイ工場の役割を増している。それでも高性能モデルに関してはヒンクレー工場で生産していて、おもにトロフィーやタイガーエクスプローラー、サンダーバード、デイトナ675などをファクトリー2が手掛ける。ちなみにボンネビルは今後、最新設備を整えたタイ工場での生産が多くなるという。

残念ながら工場は稼働していなかったが、まず案内されたのは巨大なラックが並ぶ資材管理スペース。コンピューター制御のリフトによって必要な材料が取り出され、専用カートで運ばれていく。組み立ては基本的にライン方式だが、その本数は意外と少なく、コンパクトな印象。エンジン組み立てラインではなんと1本のラインで全車種をカバーしているのだとか。四輪車の工場のようにロボットアームが動き回る風景ではなく、熟練した職人のスキルによって丁寧に組み上げられていく現場である。加えて、今や世界の主流となった『カンバン方式』(トヨタが始めたタイムリーな部品供給の仕組み)を採用し、生産の効率化が図られている。

最新テクノロジーと伝統的クラフトマンシップの融合。聞き慣れた言葉ではあるが、それを実感したトライアンフ本社工場であった。現地の雰囲気を写真でお伝えできたらと思う。

フォトTOPICS(写真点数/15枚)

トライアンフ本社工場の画像
01本社受付は真面目なメーカー気質を感じさせる整然とした雰囲気。壁面にはトライアンフの歴史をテーマとしたオブジェや写真が飾られている。
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02イギリスBBCテレビで放送されたドキュメンタリー番組で、デビット・ベッカム氏とともに南米を旅したスクランブラ―も泥付きのまま展示されていた。
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03映画『大脱走』ではかつての名車TR6で柵越え大ジャンプを演じるなど、公私ともにトライアンフを愛したスティーブ・マックィーン氏の写真も。当時はメリデンに工場があり、トライアンフの黄金時代だった。
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04ロケットIIIのシリンダーヘッドについて説明する本社スタッフ。わかりやすく工場を案内してくれた。一般向けのガイドツアーは行っていないが、数年後を目指してビジターセンターを建てる予定だとか。
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051台ずつ梱包されて出荷を待つ完成車。仕向け地ごとに整理されていて、最大で約7,000台をストックできるそうだ。
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06天井まで届くほどの巨大なラックにはぎっしりと資材が詰め込まれている。1台のバイクを完成させるために、14,000点ものパーツをサプライヤーから調達してアッセンブリ―する。
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07クランクシャフトはスペインで鋳造粗型を作り、これを本社工場で切削・研磨してベアリングを組み込んで完成品となる。1日に220本のシャフトを製造するそうだ。
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08鋳造のブランクからカム山などを切削・研磨して1本のシャフトにするまでの工程を示している(空冷エンジンのボンネビル)。一番下が完成品で、短くなっているのは最後に2本に分けるため。
トライアンフ本社工場の画像
09おそらくはトロフィーの燃料タンク。こうして見ると、容量を稼ぐために左右に振り分けられた樹脂タンクの構造がよくわかる。
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10トロフィーの組み立てライン。普段は1日2交代制、週4日労働で作業に当たっている。熟練の職人はすべてのモデルを組み立てられるスキルを持っているのだとか。
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11ロケットIIIの組み立てライン。天井からつり下げられたコンベヤーで流れてくる車体にパーツを組み付けていく。今や国際語になった『カンバン方式』を用いて生産効率化を図っている。
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12掲示板には『カイゼン』の標語が掲げられていた。生産管理については日本の製造業のシステムを参考にしているのだとか。工作機械も日本製が多い。
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13ヌラリとした光沢が美しい手塗りのフェンダーはおそらくサンダーバードのもの。塗装はファクトリー1で行っているが、ピンストライプを描ける職人は限られていて、親子2代で継承している例もあるそうだ。
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14燃料タンクのヒンジ部分にはピンストライプを手掛けた職人のサインが入っていることをご存知だろうか。これぞクラフトマンシップの誇りである。
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15ロビーには空冷エンジンのボンネビル(左)と、ストリートトリプル(右)のエンジンカットモデルが展示されていた。1つのブランドで、これだけ趣の異なるエンジンを作っている輸入車メーカーも珍しい。
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