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タイガー800XCx 長期インプレ vol.10【タンデムツーリング&女性ライダー編】

タンデムのしやすさと積載性を両立したリアシートまわり

タイガー800XCxの画像

これまで1人乗り状態での走行&ツーリング性能を語ってきたこの長期インプレッションも、今回で最終回。そこで、まだ一度も試していなかった『タンデム性能』を徹底チェックした。

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まずはシート。ライダーとタンデマーのシートは分割式だ。ライダーのシートは足つき性と前傾姿勢のとりやすさを考慮した“えぐれ”のある形状をしているのに対し、タンデムシートは非常にフラット。素材は同様のもので、体重をかけても潰れきらない高反発な印象を受ける。硬すぎるわけでもなく、1日300kmから400km程度のツーリングなら快適で、お尻を気づかうこともないだろう。

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タンデムシートは、長さ36cm、最前部の横幅25cm、最後部の横幅19cm。実際に乗ってみると、座面の広さがよくわかる。標準体型の人なら、横にお尻がはみ出て窮屈な思いをすることもないはず。前後に長いのも特徴的で、シートをまたぐという感じよりも、椅子に腰かけるような感覚となる。これは快適だ。

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タンデムグリップが横に張り出しているので、しっかりとつかめる。タンデマーの乗車位置よりやや後ろにセットされていて、お尻と両手の3点で三角形を作ることができ、安定性が高い。

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タンデムシートが前後に長いことで、ライダーとタンデマーの間にはかなり“ゆとり”がある。このゆとりがタンデムでのロングツーリングでは非常にありがたい。ライダーは1人乗りと変わらない姿勢で運転できるし、タンデマーは前方の景色を見やすい。ライダーのヘルメットだけを見続けるタンデムツーリングでは、後ろに乗る人は飽きてしまうだろう。お互いに快適なのだ。

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タンデムシートの後ろにはキャリアが標準装備されている。キャリアは、前後の長さ22cm、最前部の幅24cm、最後部の幅16cm。容量30L以下のリアバッグなら、問題なく積載できる。適度なサイズのシートバッグは、タンデマーの背もたれにもなり、加速時に後ろに落ちそうになる不安がなくなる。ふたりで行く泊まりがけのツーリングでは、オプションのサイドパニアやトップケースを装着すれば完璧。キャンプ道具一式でさえ積載できるはずだ。

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真横から見ると、ライダーとタンデマーの間のゆとりがよくわかる。ライダーは身長175cm、タンデマーは163cm。写真では両手でグラブバーをつかんでいるが、片手を肩に伸ばしたときも適度な距離だ。

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前後シートの高さの差は、約10cm。高さに差があるほどタンデマーは景色を見やすくなるが、その分だけ視線が高くなって怖さを感じるという意見もある。今回のように10cmほどの身長差なら、少し背伸びをすれば前が見える=ちょうどいい具合だ。それに前述の通り、前後のゆとりがあるため、タンデマーは首を少し横にずらすだけで広い視界を得られる。

ライダーとタンデマーの膝の飛び出し加減がほとんど同じなのも美点である。ビッグスクーターなどは、椅子に座るような感覚で非常に乗りやすいが、タンデマーの膝の位置が横に飛び出し過ぎてしまうのが少々ネック。タイガー800XCxは、絶妙な座面の広さでこれをうまくカバーしている。

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過去にもお伝えしているが、タンデムシート下の左側面には12V電源ソケットが備わっている。タンデマーにとって、とても便利な位置にあり、たとえばスマホを充電しながら地図アプリを見てライダーのナビをする、なんていうのも簡単に行える。

タンデムでの走行性能をチェック

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タイガー800XCxは、見た目のイメージよりも軽快な印象のバイクだ。ひとりで市街地や細かなワインディングを走ったときには、まるでモタードマシンのようにヒラヒラと走るなあ、と思ったほどだ。その大きな要因がWP製の高性能サスペンション。路面から伝わるショックをことごとく吸収し、非常に柔らかく快適な乗り心地を実現する。

今回タンデム走行をして、そのサスペンションの真価を見た。リアに荷重がかかることで、路面に接地しているという安心感が増したのだ。おそらく高速巡航を行う際は、2人乗りのほうが楽だと思うだろう。そして段差を越える際の衝撃は、タンデム状態でもしっかりと吸収する。道路からコンビニなどに入る際、いちいち「段差を越えるよ」と伝えたり、スピードをいつもより落としたりする必要がない。1人乗り感覚で、普段とほとんど変わらない走りができることに驚いた。エンジンのパワーも充分で、2人乗りを安全に楽しむクルージングなら不満をまったく抱かない。

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タンデマーからの目線はこんな具合。顔を横に少しずらせば、前方を広く見渡せる。前が見えずに乗るのは不安なうえ、せっかくのツーリングなのにライダーといっしょに景色を楽しむことができない。広い視界は、ライダーとの瞬間瞬間の共有につながり、タンデムをよりいっそう良いものにしてくれる。

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【タンデムモデルを担当したYUKAさんから一言】
「座面が広くて安心して乗ることができました。私もバイクを運転するので、前が見えないと不安になります。首を横に数cm伸ばすだけで前方が見渡せるので、ライダーの感覚にかなり近いと思います。タンデムグリップはつかみやすくて、落ちる心配もありませんでした。タイガー800XCxならカップルや夫婦でどこまでも行けそうですね!」

女性ライダーが乗るとどうなのか?

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身長163cmのYUKAさんにもタイガー800XCxに乗ってもらった。リッターオーバーのマシンのように極端に大きな車体ではないため、バイクに乗り続けている女性ライダーであれば、充分に乗れる可能性を感じる。ちょうど男性がタイガーエクスプローラーなどのフラッグシップアドベンチャーモデルに乗るくらいのサイズ感だろう。女性がこのマシンを自在に操ることができたら、男性ライダーはグッとくるにちがいない。

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シート高は840mm。つま先だけだが、両足が接地した。シートの幅が狭められているため、YUKAさんのように足の細い人は、足つき性が良くなる。かかとのあるブーツを履けば、より安心感が増し、問題なく扱いきれるだろう。なお、純正オプションとしてシート高820mmのローシートも用意されている。

今回の動画撮影に使用したカメラ

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GoPro HERO4 Silver Adventure

5万3,990円(消費税8%込み ※2015年8月時点)

HERO4シルバーエディションは、GoProならではのフィールドを選ばない高画質をより身近にするためのモデルで、シリーズ初の内蔵タッチパネル式LCDディスプレイを搭載。タップ&スワイプのみで操作を完結できるイージーさでありながら、4K-15pの超高画質動画や1080-60pからWVGA-240pのハイスピード動画、30枚/秒の1,200万画素静止画といったハイスペックを誇り、ハイアマチュアのほか、プロフェッショナルユースにも十二分に応える。

プロフィール
西野 鉄兵
ツーリングマガジン『アウトライダー』編集部のデスク。大学生だった2007年にアルバイトで飛び込んで以来、長きにわたって雑誌やWEBの編集に携わっている。バイクの使い方はもっぱらツーリングで、全都道府県と海外数カ国での走行経験あり。普段の愛車は、2005年式のトライアンフ ボンネビルT100。

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