VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ ボンネビル ボバー(2017) 試乗インプレッション

トラインフボンネビル ボバーの画像
TRIUMPH BONNEVILLE BOBBER

トライアンフ ボンネビル ボバー(2017)

50’sスタイルが現代に甦った
リアルボバーモデルの誕生

2016年に生み出した水冷バーチカルツインエンジンを軸にモデルバリエーションを増やしてきたトライアンフが、驚きのモデルをリリースした。1950年代のビンテージモーターサイクルを彷彿させる新開発のリジッド風フレームを骨格とするこの「ボンネビル ボバー」は、100年を超える歴史から成る伝統があってこそ生み出せた本格派のネオクラシックモデルと言っていい。もちろん見た目だけではない、最新エンジンとさまざまなシステムが組み合わされた真新しいライドフィールも強烈な個性を見せつけるものだ。

トライアンフ ボンネビル ボバー 特徴

トライアンフ ボンネビル ボバー 写真

既成概念を大きく覆す
異端モデルが誕生した

「ボバー」とはカスタムスタイルのひとつで、1940年代アメリカで流行したドラッグレースやダートトラックレースに参戦したレーサースタイルがその源流と言われる。無駄を削ぎ落とし、軽量化したスタイルはチョッパーと似て非なるもので、「短い」が語源のボバーはナロー(細い)スタイルが特徴的なチョッパーと異なり、ボディそのものをギュッと凝縮させた力強いシルエットが魅力とされる。

伝統の名称「ボンネビル」に「ボバー」を冠したこの最新モデル、やはり特徴はそのフレーム形状だろう。2本のリアサスペンションを備えるツインショックフレームが基本構造となっていたトライアンフのモダンクラシックに、まさかリジッド型フレームを備えたバイクが登場するなど、誰も想像つかなかったからだ。

トライアンフ ボンネビル ボバー 写真

モーターサイクル史に詳しい方なら耳にしたことがあるだろう「リジッドフレーム」とは、1950年代以前、リアサスペンションという概念が存在しなかった時代にスタンダードとされていたフレーム構造で、トライアングル形状のリアアクスル部でリアホイールを支える組み付けとなっている。当然ながら衝撃を吸収することなどできず、路面から伝わる衝撃はそのままダイレクトにライダーの体を大いに刺激した。別名「ハードテイル」とも呼ばれるものである。

ツインショックフレームが生まれ、そしてモノショック(リアサスペンションが1本)が誕生し、モーターサイクルの快適性が高まるとともにリジッドフレームはその役目を早々に終えた。そんなリジッドの歴史を今に伝えるモデルはハーレーダビッドソンのソフテイルモデルだけで、ネオクラシック最盛期の現代とはいえ、そのリジッド型フレームを再現しようというメーカーは他に現れなかった。

トライアンフのモダンクラシックはツインショックフレームというイメージが強くはあるが、1950年代前半まではリジッドフレームを採用していた。かつてヨーロッパやアメリカを席巻したビンテージレーサーを復活させることを目的とするボンネビル ボバーのプロジェクトは、フレームまで新規開発するという想いの強さから生まれたものなのだ。

もちろんリアサスペンションのない完全なるリジッドフレームではなく、シート下から顔を覗かせる専用のリアサスペンションに巧みな動きで衝撃を緩和する「ケージ」スイングアームと、現代モデルにふさわしい仕様となっている。タイヤサイズはフロント19 / リア16とされ、タイヤには英AVON社「コブラ」を採用。いずれもこれまでのトライアンフになかった仕様で、ハーレー・スポーツスターやヤマハ・ボルトに見られるスポーツクルーザースタイルとなった。シングルディスクブレーキ & スポークホイール、そしてチェーンドライブ式という組み合わせも、ボンネビル ボバーのビンテージ感を一層強める。どちらかと言えばドラッグバーのようなワイドフラットバーに真鍮をあしらったスピードメーター、小ぶりなヘッドライト、サドルシート、フォークブーツが雰囲気を醸し出している。

トライアンフ ボンネビル ボバー 写真

そんなボンネビルボバーだが、ただクラシックスタイルを踏襲しただけのモデルではない。ここまでフォルムを極めつつも、心臓となるエンジンは最新の水冷バーチカルツインとなっていることから、先代の空冷エンジンを上回るキレの良い挙動が魅力のマシンとなっている。サドルシートも3段階でスライドが可能で、690ミリというシート高まで下げられるなど、随所に気の利いたギミックが施されているのも見どころだ。

枚挙にいとまがないほど魅力的な性能を備えるボンネビルボバー。数値では推し量れないそのライディングパフォーマンスを探っていくこととしよう。

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