VIRGIN TRIUMPH | T140ボンネでスタートしたトラ最速レーサーへの道 vol.09 小沢 和之さんのコラム

T140ボンネでスタートしたトラ最速レーサーへの道 vol.09

  • 掲載日/2015年06月12日
  • 写真・文/小沢 和之(ライター)

レースを始めようとするきっかけや理由は人それぞれ、十人十色だと思います。人によってはバイクすら持っていない状況からレースを目指すこともあるでしょう。ワタシの場合は1982年にトライアンフを購入と同時にその翌年からスタートしたツインバイクの祭典『バトル・オブ・ザ・ツイン』の存在を知ったのがきっかけとなっています。実際はエントリー締め切りとバイクの納車時期が重なってしまい、第1回大会への出場は敢えなく断念したのですが、結果的にはこれが大正解。第2回までには丸1年の猶予が出来たから最高の準備期間となったわけです。

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バイクがようやくワタシのところに来たのは年も押し迫った12月21日。めでたく外車オーナーとなったわけです。う?ん、正直高かったですね?。ローンを組んだので総額は140万円くらいだったと思います。丁度その年に社会人になったとは言え、随分と思い切ったものです(笑)。

バイクが手に入ってレーサーへと一歩近づいたわけですが、最初にやった事は何だったかな?? と思い起こすと…そう! 革ツナギを買ったんですよ。当時バイク関係のモノを買いに行くと言えば“上野バイク街”と呼ばれていた、上野駅から首都高入谷インターまでの昭和通り沿いに、バイクショプが無数に立ち並んでいたエリアです。

全盛期は何軒のバイクショップがあったのかはわかりませんが、とにかくここに無いものは無い。お金さえ払えば世界のバイク&パーツが手に入ると言っても過言ではないミラクルワールドが、この一角に存在していたのは紛れも無い事実です。もちろんワタシもいろいろなモノを買ったし、いろんな事を学んだような気がします。そんな桃源郷もいつしか夢破れ、現在では無くなってしまいましたね…。

話を戻してツナギですよ、ツナギ。サーキットを走るならまずはツナギとブーツということで上野に…って流れですが、これが違うんです。また当時、真っ先に思い浮かべるレーシングスーツブランドと言えば、胸に大胆な切り返しのデザインが入った国内トップブランド(たぶん)の『クシタニ』なのです(そうでしょ?)。

しかしワタシの場合、トライアンフを購入して頭の中にユニオンジャックの旗がヒラヒラとはためいていたので、ツナギもブリティッシュかヨーロピアンでシャレオツなイメージでした。もちろん上野でもその手のツナギを探す事が出来たのですが、せっかく買うなら場所もシャレオツなところが良いと思い、麻布の『ブルックランズ』というショップに行きました。ここは当時「SRを英車風にカスタムするならここのパーツ」ってほど英国バイクスタイルの王道を築いた、憧れのショップだったのです。

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レース目的ならクシタニの専門ショップに行けばいいのに、カッコ重視と言うか“かぶれ”と言うか、結局はスタイル重視の“なんちゃって”レーサーだったわけですね。真剣にレースを考えていたら、MFJ公認の本格的なレーシングスーツを選ぶはず。そこをあえてバイクに合わせたブランドから選ぶところが、本気度からは相当かけ離れていたという証拠ですね(笑)。ただ当時はアマチュアレースのレギュレーションが今ほど厳しくなくて、ヘルメットも普段使ってた安物でもO.K.だったんだから、若干ノー天気な時代だったのかもしれない。

さて、シャレオツな麻布で憧れのブルックランズにいそいそと出かけ、ツナギ購入と思ったのですが、残念ながらお目当てのツナギは在庫が無かった(涙)。ブリティッシュライダー、特にロッカーズと呼ばれる一団から絶大な人気を博していた『ルイスレザー』のツナギとブーツが欲しかったのですが、次回入荷は未定、いつ手に入るかは神のみぞ知ると言う辛い現実を突きつけられてしまったのです…。

ルイスの真っ黒いツナギを身にまとい、黒タンクのトライアンフに乗ってサーキットを疾走する我が身を想像していたのですが、脆くもその夢は崩れ落ち、第2の選択を余儀なくされました。別にいますぐツナギを買わなくてもよかったんだけど、その時はスイッチが入りっぱなしになっていたのか“欲しい欲しい病”にかかっていたのか、店内にあった『ダイネーゼ』の黒を購入しました。ダイネーゼと言えばレース界では老舗中の老舗なので問題なし。その選択は正しかったかもしれません。

目標のレースは1年後だけど、ライセンス講習会や練習走行など、ツナギ着用の機会は1年後ではなくすぐそこにあるので、手元にあって当然なのです。ブーツもルイスレザーは無いので他店で黒を購入。1年後のレースに向けて着々と準備を進めました。

ちなみにその後、ツナギは浅草の老舗『カドヤ』で2着、武蔵村山の『GOTO』で1着、それぞれフルオーダーメイドで作ってもらいました。

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カドヤの1着とGOTOのツナギは今もレースや走行会で愛用し、ワタシの身を守ってくれています。初めて買ったダイネーゼともう1着のカドヤはサイズが合わなくなって着られませんが、今でもガレージに保管してあります。こういうアイテムって処分出来ないんですよね?。

当たり前だけど、個人でレースを楽しむには何もかも自分で揃える。一番お金がかかるのはバイク。その次にお財布の負担になるのがレーシングスーツとなるわけです。自分のカラダに合ったスーツはフルオーダーが理想だけど、セミオーダーや吊るしでも革なので使い込めば馴染んできます。中古品だとクセが付いている可能性があるから、あまりお薦めはできません。レースは金がかかるもの。それでもワタシはやりたいんだ! って気持ちがあれば、なんとかなるでしょう!

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ロードレースの最高速は、アマチュアと言えども相当なものです。転倒なんて事になったらダメージも大きいのです。となるとセーフティアイテムの重要性が大きく問われるわけだから、ツナギやヘルメットには気を遣わないとね。レースを意識したらモノ選びもそこに合わせないと、楽しく続けられないと思う。

初めて買ったダイネーゼのツナギ、もしかしたら現代のレースじゃ着用禁止かもしれないけど(ヘルメットの規制は厳しいけどツナギやブーツはそこまで厳しくはない)、さすがしっかりと作り込まれたレーシングブランド、何度も助けて頂きました。やっぱ本物の価値と言うかブランドの重さって言うのかな、レースにはそんな奥深さが数多く潜んでいます。だからレースは軽い気持ちではなく、1レース1レース、しっかりと気持ちを込めて臨みたいものです。

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ワタシを守ってくれているレーシングスーツにも感謝の気持ちを十分込めて、コラムは次回に続きます!

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