VIRGIN TRIUMPH | 6-20 名車・アルピーヌA110が復活 立花 啓毅さんのコラム

6-20 名車・アルピーヌA110が復活

  • 掲載日/2018年08月03日
  • 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

立花啓毅さんのコラムの画像

先日、フランス大使公邸で20年ぶりに蘇った新型「アルピーヌA110」の発表会が行われた。東京の真ん中でありながら2500坪強という広大な敷地を持つ大使館は、樹木が近隣のビルを覆い隠し、静かでゆったりとした時間が流れていた。それはそのはず徳川幕府からの遺産を今に受け継ぐ庭園なのだ。

緑まぶしいこの庭園に新旧の「アルピーヌA110」が並べられていた。発表会はそれを右手に見ながらローラン・ピック大使の挨拶から始まった。「今年は日仏友好160周年にあたり、記念すべき年に記念すべきフランスのスポーツカー・アルピーヌを発表できたことを嬉しく思います……」

彼は以前、次のような話をしていた。「フランスは日本にラブコールを送っているのに、日本は冷たい素振りのように見える。母国では日本ブームに沸き、日本食やアニメなどが賑わっているが、日本はそうではない。その昔、多くの日本人がフランスに勉強に来ていた時代があった。もっと日仏の国交を盛んにし、互いに経済を盛り上げていきたい」。大使のこのような想いが、今回の大使館での発表に繋がったように思う。

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英車好きの私も初代の「アルピーヌA110」は別格で、もっとも愛するクルマに挙げている。勿論、ユニークなスタイルや卓越した運動性能は天下一品だが、それにも増してこれほど運転が楽しいクルマはないからだ。

人馬一体感は、このクルマを置いて他にないといえる。後車軸の後ろにエンジンを置いたためセッティングが難しいはずだが、その調教は天下一品。

フロントが軽いためコーナーでは、ブレーキングで荷重を前に掛けながらにスロットルを開けると、荷重が後輪に移り多大なトラクションと適度なスリップアングルで小さく回り込むことができる。ドリフトもスロットルに比例するため、これほど痛快なクルマはない。

車重が700kgと軽いうえ、プラットフォームの剛性が高く、またドライバーは肩をBピラーに当ててサポートするためクルマの微細な挙動が掴めるのだ。

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新型アルピーヌの緒元をみると、初代A110の操る楽しさを継承していることが判る。ドライバーの後ろにエンジンを、前にガソリンタンクを置きマスを集中させ、重量配分は44:56とある。緒元的にはやや過敏すぎる傾向にあるが、長めのホイールベース(2,420mm)で安定させているのだろう。エンジンは1.8L直4ターボの252PS/32.6kg-m で、これを7速DCTで後輪に伝える。

ボディはオールアルミで、装備品23kgを含めて1110kgと軽い。一方、アルミは路面からのハーシュや突き上げが直接的に伝わりやすい問題がある。それをどのように解決しているか、ぜひ試乗させて頂きたいと思う。

伺ったところ新型アルピーヌは、ルノーの中の1ブランドとして設定され、開発は強力な技術力を誇るルノー・スポールが担当したというのだから、すでにお墨付きのクルマだといえる。

実は私がマツダの実研部長だったころ、元ルノーの実験部長さんとタイヤの評価を一緒に行ったことがある。タイヤ評価というのは非常に難しく、社内の担当者ともなかなか合わないほどだが、なんと初めてお会いしたにも関わらず詳細項目まで一致し、思わず互いに手を握り合ったことがある。この時からルノーの評価力の高さを感じていた。

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790万円という価格の安さもいい。一般的に新型車の場合、開発費と生産設備に数百億円の投資が必要となる。そのため台数が少ないと、どう頑張っても赤字になるはずだが、これに「GO」を掛けたカルロス・ゴーン社長の英断が素晴らしい。彼は経営には厳しいと言われているが、一方でクルマ好きのため、このようなクルマが生まれたものと思う。

しかも最初の生産ロットは、わずか1955台だ。その内の50台が日本向けとなり、希望者が超えた場合は抽選になるという。今回はプルミエール・エディションという限定車で、他のモデル(ベースグレードのピュアと豪華仕様のレジェンド)も年末までに発表するとのこと。

1955台といのは、アルピーヌの設立年にあやかったもので、創設者・ジャン・レデレによって「ソシエテ・デ・オートモービル・アルピーヌ」が1955年に設立された。そして1962年にA110を発表し、モンテカルロ・ラリーを始め多くのラリーを総なめし、1978年には、なんと!ル・マン24時間でも優勝を遂げたのだ。

この時代は世界中がもっとも元気だった頃で、アルピーヌが誕生した1955年は、トライアンフは650ccエンジンで速度記録の310km/hを達成した年だ。残念ながら公式記録にならなかったため、翌年に345km/h の世界記録を樹立した。60年代に入ると、このエンジンを2基搭載し、395.363 km/hの新記録を打ち立てた(詳細は6‐19章に記載)。

今回、大使館に伺い、手入れの行き届いた日本庭園を拝見し、日仏の交流の深さを感じた。160年前というと明治に入る10年前の江戸時代からとなる。日本政府も160周年を記念し、今世紀最大の「ジャポニスム2018」をパリを中心に展開するとのこと。

『ALPINE A110』仏製(2018年)
  • アルピーヌ・ジャポン 販売は全国14のアルピーヌ正規販売店
  • 全長×全幅×全高=4,205×1,800×1,250mm
  • 軸距=2,420mm
  • トレッドF/R=1,555/1,550mm
  • 車量=1,110kg(F 44:R 56)
  • エンジン=M5P 直4ターボ 1,798cc。
  • 内径×行程=79.7×90.1mm。
  • 最高出力=252ps/6,000rpm
  • 最大トルク=32.6kg-m/2,000rpm
  • T/M=DCT 7速
  • サスペンション=FR共ダブルウィッシュボーン
  • タイヤ=F205/40ZR18 R235/40ZR18
  • 価格=7,900,000円

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