VIRGIN TRIUMPH | 番外編 4 トライアンフのローンチ・パーティ 立花 啓毅さんのコラム

番外編 4 トライアンフのローンチ・パーティ

  • 掲載日/2017年02月03日
  • 文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

2017年明け早々、1月にトライアンフのニューモデル・ローンチ・パーティーが東京タワー内にあるスターライズスタジオで行なわれた。

立花啓毅さんのコラムの画像

新型の『ボンネビル ボバー』と『ストリートスクランブラー』の発表会である。このパーティーは嗜好を凝らしたなかなかお洒落なイベントで、来場者は我々ジャーナリストを含め300人も集まった。発表会の後は、軽食とアルコールの力も借り、皆さんバイク談義に花を咲かせた一夜だった。

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まず会場で眼を引いたのが、スティーブ・マックイーンが映画『大脱走』の中で乗ったトライアンフだ。この映画は多くの方々が観られたかと思うが、マックイーンが有刺鉄線の柵をトライアンフで飛び越えるシーンがある。最新のモトクロッサーならまだしも50年代のプアーなサスペンションで数メートルもある有刺鉄線を飛び越える。それもスタントマンを使わず、マックイーン自身が乗ったということで、当時、話題が沸騰したものだった。

この映画をイメージして作られたのが、今回のストリートスクランブラーだ。2本のマフラーは右側にアップされ、スクランブラーらしい雰囲気を醸し出している。

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エンジンは水冷化された899ccのSOHC8バルブである。クランクの位相は270度。最大出力は40kw(55ps)/6,000rpmだが、トルクは旧型の空冷に較べて低中速域で大幅に向上して80Nm/2,850rpmを発揮。

一般的に、水冷にするとノッキングが発生しにくくなるため、低中速域でトルクが向上、また安定した性能が得られる。今回のストリートスクランブラーは、このメリットを生かしたのだろう。

トルクバンドが広いためトランスミッションは5速。このエンジンならワイドな5速の方が使いやすいと思う。

ちょっと気になるのは、車両重量が224kgと重いことだ。ダートでの取り回しを考えると、もう少し軽い方が望ましい。価格はカラーによって若干違うが、122万500円とかなりリーズナブルに設定されている。

もう1台の新型車はボンネビル ボバー(Bobber)である。

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Bob(ボブ)とは「短く切る」という意味で、ボブカットのボブだ。フェンダーを短く切りつめ、車高を下げたストリート・ドラッグレーサーだ。

こちらはエンジンを1,200ccまで拡大し、57kw(77ps)/6,100rpm。トルクはスクランブラーを大きく上回る106Nm/4,000rpmを発揮。

シートの構造も凝っていて、スイング式のシングルだが、アルミ製のシートパンを身長に合せてスライドさせることができる。価格は151万5,000円から。

リアサスペンションは一見リジッドに見えるが、凝ったリンク式のモノサス構造である。タイヤはフロントが細目の19インチで、リアはファットな16インチタイヤを採用。

ボブスタイルそのもので、まさに大トルクにモノをいわせて後輪を空転させながら猛ダッシュするストリート・ドラッグレーサーである。

ボブが流行っていた50~60年代のアメリカは、ピックアップの荷台を外したトラックをよく街角で見かけることがあった。信号で後輪を空転させるために後を軽くし、タイヤスモークを上げながら猛ダッシュするのだ。

ボンネビル ボバーに跨ると、思わずそんなバカなことをしたくなるような気分になる。ちょっと乗ってみたい、やんちゃな1台である。

今回は革ジャンなどのクロージングも用意され、それをまとって登場したのがミハエル・クルム選手。日本で活躍中のレーシングドライバーだ。

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ボバーに乗るには、やはりボバー・ファッションは必須で、当時はちょっと悪ガキっぽい鋲を打った革ジャンが流行っていた。今回はそれを少し上品にアレンジしたアイテムを揃えていた。

じつはトライアンフモーターサイクルズジャパンの野田一夫社長は、マツダ時代の後輩で、まだ若いが優秀な男である。陣頭指揮を執るようになってから3年目だが、その間の業績は素晴らしく、新型車の投入も手伝い昨年の販売台数は前年比53%アップの1,797台である。

話によると、この春には大型デーラーが仙台、水戸、横浜港北の3か所にオープンするというから、さらにトライアンフの人気が高まり、販売台数が伸びるものと思う。

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